死化粧師のベタ

 最近よく歩く。昨日は非常勤の帰り浜田山でラーメンを食べたあと、荻窪まで歩いた。さすがに川沿いに行くのは、ちょっと人通りが少なかったので、すぎ丸の経路から、善福寺川のところから、西に進み、団地のところから北上というコース。あまり時間がかからなかったので、今日は前によく歩いた永福町から阿佐ヶ谷まで歩くことにした。やはり以前に比べて、格段に時間が早くなっている。物足りないので、高円寺まであしをのばした。横浜ではプールまで往復歩いて、かつ3000〜5000泳いでいるわけだから、吉祥寺まで歩いてもよさそうなものだが、あまり興味のわくコースがないのだ。それよりは、一度烏山緑道上北沢付近から、三茶、駒場から、別の緑道に入って、終点まで歩くとか、してみたいと思う。あるいは玉川上水をどこまでも歩くとか。しかし、夜はさすがにちょっと萎え萎えだし。大学の寮で、真夜中のウォーキングラリー新宿〜小平学園なんていうのもあったなぁと思い出す。それはともかく死化粧師。なぜか11月11日に特番があるらしいのだが、前の奴のリピートなんだろうか??

 ある日、銀行に強盗が押し入り、行員の女性を人質に取った犯人が自殺を図るという事件が発生。天馬国際病院に、自殺した強盗犯と人質の銀行員が搬送されてくるのだが…。
その夜、エンバーマー・心十郎に、遺体修復依頼が入る。さっそく作業場の教会へ向うと、医師の小雪と高部刑事が待っていた。高部は、銀行強盗犯が自殺をはかり死亡したことを伝え、犯人の身元が判明して、遺族に引き渡すまでには時間がかかるため、エンバーミングを施して欲しいと依頼するのだった。さっそく心十郎は、作業に取り掛かるため遺体を見るが、その頭部には、拳銃自殺によるかなりの損傷が・・・。戦地で亡くなった父の最期の姿がフラッシュバックする。一方、天馬国際病院には、強盗事件で人質となっていた銀行員の律子が入院していた。律子の傷は浅いため、次期に回復すると思われていたのだが…。
http://www.tv-tokyo.co.jp/shigeshoshi/06.html

 ものすごい展開だ。ドラマがはじまるなり、稲川淳二みたいなオサーンが強盗していきなり拳銃自殺。娘きゃぁあで、心的外傷?間宮心十郎「おれ行かなきゃ」って、いきなり天使が呼んだの??身元がわからず、遺族に遺体を渡すのに時間がかかる、よって腐敗措置をしてほしい。とまあ、こういう仕事もあるということでありますね。シャワーも、呼んでいるもなにもなく、いきなりOP。ちょっと変化球ですね。と思ったら、「ものすごく寒い」はあって、いきなりハグ。わけわかんないっす。ご遺体は拳銃自殺していたけどきれいになっていた。顔はサービスで修復?これが今日の鍵だったのだ。
 でまあ、息子役の加治将樹が例によって味のある奴。ッテ、例の谷繁@中日に似ている俳優だけど。親子の愛憎劇。遺体はイラネ。鬼ベタなわけだが。なぜか急に場面が病院に変わり、安倍麻美の訛りまくりでそのへんのやりくりは、このドラマの一つの技法みたいになっている。で、そのあと人質になった銀行員律子の親子の愛情劇。これも鬼ベタ。愛憎と愛情って、おやぢぎゃぐやんけ。
 心十郎が息子を説得することを決意。このへんは、体育会系の血が騒ぐぜみたいな。「お別れはした方がいい。漏れも憎んでいたし」。心十郎の親子の愛憎回想。母「ケホケホ」と咳。それでも仕事に行く父、心十郎「そんなに死体が大事かよ」父「死体じゃない。人間だ」。心十郎「くそぉ!」。と爽やかなまでに絵に描いたような展開に、なんか圧倒される。
 米軍基地で働いていた父、そしてそのおやぢは最前線の戦場に出かけて、逝く。エンバーマーがいなかったから、バディは院長どころではないボコボコの酷い状態。ポケットには、息子の写真と愛、尊敬、勇気、理知、・・・・鬼ワードが書き付けてあって、およよ。それにしても、刑事役のおっさんどう見ても悪役なわけだが。刑事「だから顔を修復したのか。オレにも子供がいる。見送られてえよ、漏れも」。この悪役顔のオサーンがいうから、実に説得力がある。仕事一徹、愛憎ありまくり系だし。wでもって、だめ押し!とばかりに、盗み聞き野郎の忍成修吾「愛、尊敬、勇気、理知、おめぇにねぇもんばっかじゃん」。心十郎「せぇ!」。ベタさと、あんまし有名じゃない俳優などを、実に巧みにつかっているよな。もしかしたら、ものすごいことをやっているのかもしれないと思った。
 で、天使のお使いwithout愛、尊敬、勇気、理知が、公園でドーナツ喰いながら息子を説得。加治「あほらすぃ、せいせいしたよ」。ドーナツの食いカスをとってやる心十郎。「明日火葬だ、バカ野郎とかゆってやれよ」と遺品を渡す。財布に昔やった工作の作品が。人間けっこうこういうことで生きている面はあると思う。ガキに描いてもらった絵とか、大事にとってあるからな。孫になるともっとすごいことになるし。鬼紋切り型のストーリーが、工作でつくったマヌケ面のカエルと交響して、奇跡のようなドラマトゥルギーがキラキラと光る。ありえねぇ。わはははは。火葬場で、鬼悪役顔の刑事と、ドキュソ顔の加治と、心十郎の三角形がつくるドラマ空間は、あまりにべたで馬鹿馬鹿しいはずなんだが、そこそこみれるのはなんでなんだろうか。実に興味深いものがある。
 これでちゃんちゃん!かと思いきや、そこに温厚なはずの人質娘のオヤジが、この野郎と包丁もって娘を心的外傷にしやがって、めちゃめちゃにしてやると、死体損壊に飛び込んでくる。「死体じゃない。人間だ」という残響が、とっさに心十郎を駆り立てる。でもって、立ちはだかった心十郎が刺される。この必然性のなさは、すごいね。まるで古代中国時代活劇水滸伝仕様(呉智英パクリ)。どんなもんだいと慢心することなく、すごい展開にもってゆくところはどういうことなんだろう。忍成修吾だけじゃねぇぞみたいな気迫も感じるし。wこれは考えすぎで、ただのベタドラマかもしれないが、そのわりには見終わったあとに、不自然な気持ちは残らないのであった。