三つの届け書幾何学模様

 学会までに予習のために、制度論の本二冊と、グローバル文化の本一冊と、あとちょこっと予習して勉強になるようにしようと思っているのだが、書類づくりと原稿書きと卒論添削でなかなか時間がとれない。学会で部会別のスレッド仕様のフローター式掲示板(2ちゃんみたいなの)をつくって、情報交換したらと思うんだが、今年はまだ学会スレッドすら立っていない。勉強していくとけっこう持ち帰ることも多い。多少なりとも勉強して行きたいと思うけど、やっぱり楽しみはアフターだよね。前に横浜であったときは、中華街を案内したけど、みんなもう少し変わったところに行きたかったかもしれないよなぁなどと思い出す。そんなことを思いつつ、『死化粧師』を見る。本日のあらすじ。小野寺昭ふんする院長先生が癌再発というお話。

 エンバーマー・心十郎が清掃員として勤務する病院の志坂院長が倒れた。検査の結果、彼は肺ガンに侵されており、院長に想いを寄せる医師・小雪は、彼の手術を買って出るが、院長は既に手の施しようがないことを理由に、手術を受けることを拒否する。
一方、院長を見舞った心十郎は、彼から思いもよらない言葉をかけられる。それは、院長の死後、遺体にエンバーミングを施して欲しいというものだった。院長は、病院の人たちに自分の笑顔を覚えていて欲しいと願い、明るく見送ってもらうことを切望していた。
複雑な気持ちの心十郎に対して、エンバーミングは必要ないと考える医師の小雪は、心十郎への依頼を知り…。
http://www.tv-tokyo.co.jp/shigeshoshi/05.html

 院長は手遅れだと達観し「天命ぢゃ」。国生@女性医師「ジョーダンぢゃねぇよ、糞食らえだよ。私すずつをさせてください、すずつをさせてください」。二度すずつと鬼滑舌だったのは、演技指導によるものなのだろうか。エンバーミング嫌いな国生演ずる女性医師に院長「エンバーミングきぼんぬ」。チョンガーの人が生前にエンバーミングの予約するというのは、先週のモチーフと一緒。それをきちんと葛藤として、具体的に深めている。国生にしてみれば、エンバーミングに反対だし、思慕している院長について「まだ死ぬってわけじゃない」というふうに考えたい。その辺は間宮も一緒で、知っている人だと、同意書くれとはなかなか言えない。でもでも、「エンバーミングは同意書がないと死体損壊で刑務所行き」、だって、同意書をもらうと死ぬことが決まったということだから。みたいな葛藤を手短に示してあった。。
 「死体はゴミ同然」と言って憚らない国生が手術同意書を院長に書かせようとし、心十郎「誰よりも美しい死をあなたに」はエンバーミング同意書をもらうべきかどうか葛藤する。でもって、院長思慕の国生は結婚届もってきて、「院長書け」。で、この三つの書類が交錯する。国生「サインして」。院長「漏れなんかふさわしくねぇよ、漏れ死ぬしさ」。国生「だからするんだよ」。ここで、そっこーサインする院長。そして、確認する間宮。看護士大騒ぎ。って、婚姻届って、つーか、ズーズー便みたいな方言丸出しな椰子、安倍麻美なんだな。はじめて気づいた。それはともかく、国生が「出した」と聞くと、妙にモラルなまなざしになる。院長「出したよ」。で、サインしたのをソッコー出しにいった院長。ソッコー行き過ぎだろ、ごるぁああ。
 院長、エンバーマーの思い出を語る。「昔、死体に語りかけるエンバーマーが米軍基地にいたんだよ。そいつがご遺体にはなしかけたやがんの。大事なことだと思った。何でそんなことするんだと聞いたら、だって人間だものとゆった」。あいだみつお状態の院長、思い出話炸裂。言うまでもなく、エンバーマー=間宮のおやぢ、というベタな設定。そして、なぜエンバーミングに関心を持ったかの理由説明。ここで気づいたのだが、葬儀屋さん役のレンジって、恋路って書くんだな。
 院長の病気を何週か引っぱるのかと思ったら、まえぶれもなくいきなりあっさり氏んだ。・・・このあと・・・国生号泣。でもって、エンバーミング認知。こういう筋書きでしょう、でもベタすぎないかと思ったら・・・間宮「依頼書もらわんかったからでけへん、どないしょ?」。国生「やって。依頼書ください」。理解したというより、死んだ院長にしてやれることっつぅことだけど・・・。
 突然看護士「これを見てください!!」と書類をもって飛び込んでくる。院長実は婚姻届け出しとらんかった。鬼芋な院長「ボクはもうだめぽ。他の椰子と幸せになれ。夢をサンクス」。国生「バカだ。大ばか者だ」。でもって、院長ゾンビみたいにして逝く、みんながお見送りをしているところへ、ウェディングドレス国生登場。鬼BGMで、三つの届け(手術、同意、婚姻)が、幾何学模様が美しく輝き出す。話をどこかに落とし込まないで、ゾンビ顔(エンバーミングしていないから)でオチをつけたのはすごすぎると思う。そして、国生ゾンビ顔にキッス。馬路ぶっ飛んだ。エンバーミングの必要は、国生の後悔と信念の葛藤としてヌラッとゆらめく。国生「間宮、きょうりょくさせちくれや」。まあ最後の一言は、説明的だけど、別にイイよな。今回は、天使が呼んでいるも、ナレーションも、サムイも、最後のうてうてもなし。