死化粧師とゴスロリ

 ドラマ死化粧師は、なんか製作委員会までできていて、映画みたいになっている。怨み屋とこれはそこそこいけるんじゃないかと思ってみたりもする。非常に詳しく丁寧に描かれ、かつ毎回キリリとエッジの立った作品性が提示され、エンバーミングというものをさまざまな角度から、掘り下げてゆく。おそらくは予算足りなくて、臭くなっているような部分も、予算不足から単純化された日本のアニメ空間が新しい表現法を生み出したのと同じような、と言うのは、まあ言い過ぎかもしれないけど、ともかく毎回けっこうグッと来るものがあるからすごいと思う。

 ある日、エンバーマー・心十郎が清掃員として働く病院の入院患者・川辺絵里の容態が急変した。医師の小雪や看護師のアズキたちが手を尽くすが、絵里は帰らぬ人となった。家族が悲しみにくれる中、葬祭コーディネーターの恋路は、葬儀の話を進めようとしていた。すると絵里の母親は、客船船長の夫は航海中のため、すぐには帰国できないという。恋路は、帰国するまで遺体を保つことができる、エンバーミングを勧めるのだった。
一方、心十郎の前に、ゴシックロリータの服装をした女子高生・亜璃唖が現れ、自殺した後、自分の死体をエンバーミングしてほしいと依頼してきた。その理由を聞いた心十郎は、エンバーミングを誤解している亜璃唖を叱責して、追い返すのだった。ところが翌日、リストカットをした亜璃唖が病院に運び込まれた・・・。
http://www.tv-tokyo.co.jp/shigeshoshi/04.html


 今回のゲストは、中村映里子。非常に特徴的なパフォーマンスをみせていた。先週心十郎がさぶいとゆっているとき、あたためてあ・げ・るとかゆって登場したのが今回の主人公のゴスロリエ=中村映里子だった。うたしてやるから、ゆうこときけ、とかめちゃくちゃなことをいうゴスロリエは、なんとなくネットにはまっている感じ。で、掲示板に「自殺します」ッテ書き込みして、うれしそうに笑う。笑顔の演出とカメラワークが、ちょっとヘタウマっぽくて、キュートだった。まじかよ。w
 しかし、ゴスロリっていうと、ちょっと前の潔癖まさかり少女だとか、その前の若いカポーで親御さんをぬっころした事件などが思い出され、非常にエッジの立ったかっこよさみたいなのを思い浮かべたりもしていたのだが、このドラマでは、級友たちにボコボコに言われていた。ゴスロリちょーきもい。KY。そういうもんなのか。
 ドラマがはじまって間もなく、いきなり主題性のない死。主題性のなさが主題かと思ったら、とっつぁんがマグロ船(聞こえなかった、ちがうよなたぶん、と言うか上にあるように客船みたいだけど、ともかく船)にのっていていない、だから魔術師に任せろよと、あいかわらずいい味出している忍成修吾だけど、このドラマだと、どっちかというとぐだぐだだよな。そして、天使が呼んでいるとかゆって、いきなりシャワー浴びて出かけるエンバーマー心十郎。いきなりクライマックスか?
 その心十郎をゴスロリエがなぜか尾行して、盗撮して、にこっと笑う。目障りな存在であることで、存在を実感する幼児性は、まあどーでもいいよな。亡くなったテニス少女にエンバーミングをする心十郎。いきなり「誰よりも美しい最期をあなたへ」。そして、ナレーション。オイオイオイオイ、いくらなんでもナレーションまでははやくねぇか?「サムイ!!ぬくもりが欲しい」。とあいかわらずうてうてのちゃらおモードに戻り。お持ち帰り。つーか、ドラマ24のお約束とも言うべき、ぽよよんしてんぢゃん。まさかと思うけど、毎回ここでやるんじゃないだろうね。お持ち帰りされたカイロは、ちょっとB系でちょい萌えでした。でもって、ここに、ゴスロリエ闖入。ゴスロリエ「テメー、ネタ上がってるんだ、おめぇエンバーマーだろ。これから、自殺するんだよ。で、自殺したらさ、エンバーミングしてよ、でもってそれをネットにウプして、青い眼にして、永遠にうつくしくなるのよ」。まさかエンバーマーが、ウプするわけないよね。
 これ聞いてちょっと思ったのは、不謹慎に思う人もいるかもしれないけど、伊勢丹仕様のエンバーミングとか、整形仕様のエンバーミングとかあるのかなということ。別人のような最期を。しかし、これについては、きちんと最後に説明されていた。
 再びゴスロリいじりタイムで、級友が「ゴスロリキモイ」「かってにしねば」。ゴスロリエ「私の現実はこんなところにはない。」ぢゃあ、現実ってなんだよ。と思ったら、鬼ネット。HPやっていて、私の美しい死体公開まであと一日。とカウントダウン仕様になっている。このような場面設定の力は、すごいものがあるね。まあ、筋立てや設定などは、月並みと言えば月並みだが、上手くドラマ空間になっているような気がする。紋切り型みたいなことばが投げかけられることを、マンガっぽさによって解毒されているように思われた。
 小野寺昭殿下と心十郎の会話。殿下院長は、国生について、「あいつは泣いているんだ、ああやって」。国生非常に威勢良くそんなの関係ねぇーブートキャンプ。小野寺「ああやって泣いているんだよ」。遠い目。「ここにいる人は、みんな最高の教師だ」。そして、秋桜で禅問答。遠い目にはまいっちゃったけど、ここでも「そんなの関係ねぇ」で、みんなやっているから、笑っちゃえるわけだし、やはり解毒されているように思う。
 場面転じて、ゴスロリエ死去。カミソリでリストカット。横切り?馬路っすか。それじゃあ・・・。まあうんちくはともかくとして、病院に担ぎ込まれる。治療のため、メイクを落としたゴスロリエは普通の人だった。「この病院って、おせっかいばっか」。まだすねている。でも、すぐに素直になる。鬼ベタすぎるな。
 「謎のエンバーマーが永遠の美しさを与えてくれるとイイマスタ」とHPに勝手な書き込みをしたゴスロリエ。これに国生激怒。「自殺すすめてね?おまいまずすぎね?」と心十郎をしかりつける。ゴスロリエばっくれる。いきなり着替えて、「飛び降りてやる。こないで、とびおりるよ」。心十郎「とめねーよ。飛び降りてしぬとめちゃくちゃになるよ」。ゴスロリエ「わかんねぇくせに、わかんねぇくせに」、心十郎「わかんねぇよ」、ゴスロリエ「生きててもいいことなんかない、しんでお人形みたいな死体になるの☆」。心十郎「死がうつくすぃなんてウソだよ」。ゴスロリエ「みんな嫌い」。
 ここで、ご葬儀に誘う心十郎。ゴスロリエ「みせてくれるの?」。みせてくれるのはねぇだろう。エンバーミングが施されたご遺体は、化粧もしてないし、そばかすもある。ゴスロリエ「あんたもしかしてへたくそ?ただのすっぴん、きれいじゃねぇぢゃん」。心十郎「それがいいんだよ、あふぉ。いつもの人にもどすのがいいんだよ。エンバーミングはきれいなものをつくるんじゃなく、生前の個性をつくるものだ。で、日焼けして、すっぴんで、あとからそばかすもかき足した」。チョーシこいた心十郎は、最後にキメる。「人間は生きている時が一番きれいだ。しぬとワックスでしか直せない。でも傷はかさぶたになって治る」。
 クサイ芝居は、作意なのかな。ものすごいグッと来る設定ながら、笑いもこみ上げてしまう。しかし、原作はすごいと思うよ。やっぱり。少女のご遺体を見て、死の現実にうちのめされるゴスロリエ。「冷たかった。氷みたいに。さぶい」、心十郎「それがしぬってことだ」。最期にちゃらおがうっちゃったらすごすぎると思ったが、法的な問題もあるし、ドラマもぶちこわしだよな。ゴスが、そのへんの女子高校生になって、本編はちゃんちゃん。最後は、恒例ミニコーナー、昭とさゆりの部屋。泊まりでラーメンおやぢ食いしているところに院長登場。で、いちゃついて、ちゃんちゃん。最後は、ゴスロリエのサイトが閉じられていることを確認した心十郎の表情でちゃんちゃん。