親のための就職説明会

 テレ朝の昼のワイドショーをみていたら、親のための就職説明会があるということをやっていた。会社のことを説明するということだけど、交通費が出たり、メシが出たりすることもあるらしい。親が真剣な眼で聴いていた。大学のオープンキャンパスなども、親御さんの出席が非常に多い。メディアは昔からこういうネタが好きだよね。新人類などといわれた頃には、入社式に親がついてくると報道していたし、私たちの頃は入学式や卒業式に親が来るとか、入試に付き添いで来るとか、そんなことが言われていた。親としては、口実に旅行なんて面もあるんだと思うが、「困ったモンだ」言説が大好きなのは、人類の歴史とともに古いということは、抑えた上でものを言わないと、いかんと思う。試験答案やレポートにこういう類の言説が書いてあると、薄っぺらいやつだなぁ、これだから今時の若者は困ったモンだ、などと思う。
 会社のほうはそこまでサービスする価値があるのかということについて、担当者は「親の意見で辞退する人が多い」という話をしていた。たしかにそれはあるなぁと思った。学生はけっこういろいろ考えていて、非常に優秀な奴でキャリア形成とか、エンパワーメントみたいなことから、きちんと人生設計を立て、どんな仕事力を身につけられるかを十分に吟味し、小さくても識見のある会社を探し、そこでインターン的なアルバイトをし、といった人もかなりいる。というか、最近増えてきていると思う。というか、半分以上どころじゃなく多いと思う。そういう連中のなかで、親の反対で不本意なブランド企業を選択するということを少なからずみてきた。反対の中で、すべてを熟知した確信犯的なもの、たとえば古い封建的な発想など、は、まあどうしようもないだろうけど、雇用やなんかについての紋切り型の知識、昔ながらのブランドの衒示といったことなら、理解を深めることはできるのではないかと思う。
 いつまでも親が・・・、というかもしれないけどさ、今は昔とちがって授業料は高いし、地方からだと鬼のように金がかかる。この前、寮の同窓会みたいなのをしたときに、けっこう収入のあるはずの人たちが、学校やるのはキツイと言っていた。奨学金は競争的になってきているし、アルバイトもカテキョーとか条件のいいものは少なくなってきている。家庭教師とかやって、法外なアルバイト料をもらって、メシまで喰わしてもらって、車で送り迎えまでしてもらって・・・みたいな生活をしてきた人間が、不遜にも自立を自負して、最近の若い奴らはというのは、間違いじゃないかと思う。少なくとも私は、コンビニや居酒屋でコツコツバイトしている連中にそれは言えない。ただし、多くは、学資ではなく、旅行の資金かなんかをためているわけだが(今は旅行も」鬼安いらしいけど)。
 大学の場合も企業同じで、それなりの選択をしてもらえるようなアピールをする準備をしていかなければならなくなっている。大学入試がお受験ノリになってきている部分があるとすれば、親が大学進学や就職に関して勉強する機会を与えるようなことが、ビジネスとして展開しているのも、非常によく理解できることだ。しかし、大学でも、1年ゼミ、オープンキャンパス、父母会など、いろいろなところで親御さんや学生さんから質問を受ける機会があるけど、就職と資格のことばかり質問されている気がしてならない。でも入ったって、三年でやめるのが多いんだけどな、とか思っていたら、テレ朝のワイドショーに出ていた企業の人は、「三年でやめる」問題についても言及していて、さすがに正確に情報をつかんでやっているんだなぁと、ちょっと感心した。