時効警察とパスティッシュ

 時効警察の先週の三日月の歌は笑いました。「シャクナゲの花をください。五本の束でください。一昨日きやがれそうですか♪」「頭はジャガイモ茹でて食べろ。お尻はこんにゃくぶりぶりして食べろ、だばだだばだだばだだばだ♪」。なにが、「聞いているとだんだん(・∀・)イイ!!歌に聞こえてくるね」だよ!ゆるきゃいいってもんじゃないよ。と、ジル・ベッソンなみにツッコミイレタクなるわけだが、野見隆明に歌わしたら、松鶴家ちとせみたいになっちゃうだろうか。いずれにしても、催眠と現実の混交という定番ネタと、マニアックめかした常道トリックを遊びたおし、げらげらして、霧山と三日月がテヘとしたあとは、「双子女優の死体を消す(秘)トリック!!」。

幽霊をみても決して目をそらしてはいけないのだ

 平成のホラークイーンと呼ばれる女優・黒井桃子(鶴田真由)の新作ホラー映画の話で盛り上がったついでに、熊本(岩松了)が霧山(オダギリ ジョー)にある時効事件のファイルを差し出した。事件は、桃子と一緒に女優デビューした双子の姉・桜子(鶴田真由・二役)に関するものだ。当時、黒井姉妹と同じ映画に出演していたアイドル歌手・白鳥その子(りりィ)が楽屋で、死んでいる桜子と凶器らしきものを持った桃子を目撃。ところがその後、死体は忽然と消え、桃子にもアリバイがあることが判明したという。さらに、殺人事件か失踪事件か謎のまま、桃子には桜子の霊が憑いているという噂がまことしやかに囁かれていた。さっそく霧山は三日月(麻生久美子)と共に桃子を訪ねることに。 ところが三日月は、桃子しか住んでいないはずの家で誰かのクシャミを聞いたり、帰り道で別れたばかりの桃子にそっくりな人物を目撃。「桜子の霊だ」と怯える三日月。霧山は、ホラー現象にどう立ち向かっていくのか…。【脚本 吉田玲子、麻生学 / 監督 麻生学

 時効管理課からのメールによりますと、何となく歌手のあとは俳優でもやってみますかと、三日月が嘯いているのであります。前回は、催眠という反則技を使ったわけだけど、今回は何よと思ったら、女優だからなんか演じるんだろうね。たぶん鍵となるヒントは、メールにあった、「ものまね教室とか通った方がいいんじゃないの?」ということなのかな。これをみるとさ、パスティッシュとかゆう理屈こねまくりたくなるじゃないですか。
 つまり、パロディのようにちゃかして、何かを浮き立たせるという作意にこそレゾンデートルがあるんじゃなく、やること自体が問題みたいなわけで、物まねというのは、政治風刺とかの段階だと、風刺に問題があるわけだけど、最近のはワケわかんなくなってきていて、うまいとかそういうことじゃなく、やること時代が暴走しはじめ、さらには、ものまねのものまねでもいいじゃんみたいな、そういうことになっているわけで、まさにパスティッシュといえばパスティッシュなわけだけど、そういう小理屈じたいをげらげらしてみようみたいなことは、みてとれるんだよな。これはたぶん欽ちゃんの仮装大賞なんかについても言えるんだと思うけどね。しかし、次のメール文のところは、意味深長だよな。

 霧山「ものまね教室とか通った方がいいんじゃないの?」、三日月「ものまね教室!? そ〜んなことしたら、まるで、く――」、霧山「三日月くん!」、三日月「な、何よ?」、霧山「ホント、口軽いよね、三日月くんは」、三日月「ちょっとどういう意味!? だいたい私、まだ最後まで言ってないよね?」、霧山「言わなくても分かるよ。口止めされてること言おうとしたでしょ?」、三日月「(ギクッ)ち、違うわよ」、霧山「でも、“まるで、く”って」、三日月「クリスマスって言おうとしただけですっ!」、霧山「……。三日月くん、お笑い芸人も無理っぽいよ」、三日月「いいんですっ! 私には手品がありますからっ!」

 MLからの引用です。で、お笑いから、手品に行ってしまったりするわけだが、スーパーイリュージョンするのかね。もし、ハイキングウォーキングの真似してネタがメビウスに一回転したら、一生ついて行くぞ。わははは。といいつつ、メビウスなんて理屈に甘えることを絶対に許さない厳しいゆるさがこのドラマの真骨頂かしらね。
 忙しくて時効警察他みられませんでした。明日ビデオでみるつもりです。パスティッシュについては、最近下記の文献を読み興味深いものがありました。

小説の深層をめぐる旅―プルーストと芥川龍之介

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