ミートソース

 期末テストの採点採点の日々だが、持ち込み可でやったパンキョーの社会心理学の採点は、ちょっと手慣れた感じでサクサク進む。これが11年のキャリアッツーもんだぜというかんじ。つまり、すごくできがいい何割かとと、すごく出来が悪い何割かと、問題あわせ無難紋切り型ロジック数種類何割かと、あとはたき落とさざるを得ない椰子らと、境目の嗅覚はそんなに衰えていないのだ。専門的知識を陶冶する講義の場合はこうはいかない。知識が身についているかチェックしないといけないからだ。
 などと考えつつ、本日のランチはモンテマーレへ。家の近くにあるイタリア居酒屋というか、パスタ屋さんで、ランチはサラダバーお変わり付きなんである。ちょっと前まで、昼だけラーメンやっていたりして、注目はしていたのだが、なにせパスタなんか外で喰ってたまるかよとか思っているところもあり、足を運ぶことはなかった。しかし、最近トークバックを皮切りに、吉祥寺と西荻のパスタ屋さんを全部制覇してやるぜとか、思い始めている。モチベーションとしては、ミートソースだけを喰いまくるということである。モンテマーレのものは、「アルデンテだぜっ!」といわんばかりのゆであげパスタにさっとミートソースが絡めてある本格派っぽいものだった。これはこれでうまい。
 私は実は酸っぱいものがあまり好きではない。ミネストローネなども、カプリチョーザのちょっとクリーミーな味わいのものが好きで、これ喰いたさに、恥を忍んで、一人でカプリチョーザに入り、まわりのすべてのテーブルのひそひそ話の題材になっている自分を感じて、おぞましい劣等感をかき立てられながらも、完食したあとは、幸せいっぱいでもうどうにでもなれっつーかんじでありましたね。自分でつくるときは、デミグラスソースの素にホールトマトをぶち込んで、挽肉ふつうの二倍くらい入れ、あとはタマネギとか、にんじんとかと、わたしのこだわりとしてはグリーンピースは缶入りのカタイものをつかって、具だくさんのものにして・・・というカンジ。仕上げに生クリーム一回しすると美味いが、よく生クリームをダメにしたもんだ。コーヒー用を使えばいいんだろうけどね。
 まあしかし、この店が美味いというのはないよね。考えても思い浮かばない。たぶん深川とか、門仲とか、その辺にメタクソ美味い店があるような気がしてならないけど、知らない。よく食べたというのは、母校の生協喫茶部のミートソース。茹でおきを炒めて、溺愛のソースをぶっかけただけだけど、ブランチに週一は間違いなく喰っていた。これを食べて、コーヒーを飲みながら、原稿チェックという日課。当時は、図書館にも冷房がなく、生協喫茶部にはあったので、ここで涼をとりながら勉強した。岡山時代はあまりミートソースは食べなかった。本格パスタに固執して、市内中の店をしらみつぶしにした。東京に戻ってまた、学食のミートソースを食べるようになった。茹でおきを保温ケースにいれてあるのに、業務用のソースをかけるだけだが、けっこうやみつきだった。当時はまだ学校経営で、なんにでもコロッケがついていた時代。今は別売りで、麺は茹でおき炒め直しである。しかも、パスタセットはミートソースではない。
 ということで、ミートソースの美味い店を物色中なのである。美味いというのは、本格派というばかりではなく、なつかしいとか、そういう味である。うちの近くにあった、ソース焼きそばやさんは、「まずい焼きそば」が自慢で、新聞に出たときも「肉もなにも入っていないまずいのがなつかしい」などと書いてあった。うちなんかも肉なんか入れられないから、天かすを入れていた。天かすはフライ屋とか行けばただでもらえた。関西で言えば、「油かす」みたいなもんだが、あっちはちゃんとタンパク質が行幸ではなく含有しているから高級品だと思う。