一週遅れの功名が辻

 小早川裏切って石田三成「な、なぜ?義あるのはオレたちなのに」。家来「味方の大勝利だったよ」。千代「だ、だんなさま!」とまあ、ともかくはキメぜりふではじまってしまった功名が辻。そして、かがり火で瞑想する一豊。「さ、さみすぃ〜、酒はいいよ。みんなで呑んでくれ」。一方猪八戒は、「殿、殿」と「なりませぬ」状況のねえさんとちちくりあっていて、光成捕まえたのほうに「どうしようかなぁ」。ライバルは光成に「なぜしなねぇんだよ」。光成神々しく一蹴。そして、裏切り者を一喝「きこえたかあああああ」。中村橋之助は、次長課長ばりのおちょけもーどな太閤記とは異なる最後の歌舞伎まくり。そして、人生のオトシマエを朴念仁に託す。関ヶ原の命運を猪八戒が託したのも、義の人、経済の人が、人生のオトシマエを託したのも、一本槍の朴念仁という、相変わらずの明解な図式。(・∀・)イイ!!。

 関ヶ原から敗走した三成(中村橋之助)は再起の意志むなしく囚われの人となり、家康(西田敏行)本陣のある大津城へと移された。縄目姿のまま城の門前でさらし者にされる三成。衝撃を受けた一豊(上川隆也)は自分の羽織を三成にかけてやり、「たとえ家康を頼もうとも、豊臣家と秀頼様をお守りなされよ」という三成の遺言を、千代(仲間由紀恵)から淀(永作博美)へ伝えさせることを約束する。そして家康と三成が対面…。数日後、一豊は大坂の屋敷に凱旋。戦場で感じた虚しさについて千代に語る。敵となるも味方となるも所詮は仮の姿、年を経たからわかるのです、と千代。生きる切なさ、散る悲しみ。二人は三成と、関ヶ原で敗れた者たちのために涙を流す。
 千代は寧々(浅野ゆう子)を訪ね、信長・秀吉・家康と仕え生きていることが出来るのは寧々のおかげと感謝を伝える。それに答え「夫は妻がこしらえしもの」と返す寧々。そして千代から三成の遺言を伝え聞いた淀は「三成は、われが生涯ただ一人、いとしく思った男であった」と告白するのだった。三成は六条河原で斬首された…。そして関ヶ原の論功行賞。一豊は、予想もしていなかった土佐二十万石を賜り、ついに国持ち大名へと昇格。「千代、そなたにもらった国じゃ」。二人で叶えた、二人の夢。しかしこれは家康が与えた試練、行く手には大きな困難が立ちはだかっていた。
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 猪八戒は光成に「あっぱり、忠義の人であったことは認めてやるよ。ワシもそんなヤツを育てたいよ」。光成無言。猪八戒「さらばじゃ」。まるで落ち武者のように帰還した一豊は千代に「よく生きていたな」っつーか、昔の人は部下の前でハグハグしたんだろうかなぁ。「関ヶ原に夕闇が降りてきた頃。胸の中になんとも言えぬ寂しさがこみ上げてきた。やむを得ず敵となったもの、味方となった者、しょせんは仮の姿に過ぎぬ。こたびわしが命をすくわれたのは、運がよかっただけだぜ」と歌舞伎まくり、「いよ!朴念仁!日本一」とかけ声をかけたくなる感じ、つーか下町の玉三郎カッツーの。で、千代「おまいさん、生きていればこその功名だぜ」。わはははは。ここで千代が突然歌を歌う。歌で情念をかき立てた一豊は敗者のために倒れて泣き狂う。中島みゆきの歌詞のパクリ??
 一方大阪城では、権謀術数の限りを尽くした尼さん仕様がこさかしい忠言をしているのを、淀君一喝「なんで部下同士の争いにあやまんなくてはいけねぇんだよ」。そこへ一豊。これも「けえれ!」。おたおたする一豊「千代ぉ〜、あってくんないよ、おまいが伝言してくれよ」。伝言して、およよな淀。「光成は、いつ氏ぬの?」とゆい、「光成の最後を見届けてくれよ、で祈ってくれよ」。そのあと、家康が挨拶に来たとき、小早川と福島に嫌みを言う淀君。「んなことはねぇ」と割ってはいる猪八戒。しかし、淀君は光成のオトシマエをつけるべく家康を一喝「おめーみたいなのと、私は役者がちげーんだよ」と言わんばかりの差を見せつけられた猪八戒「むかつく、光成そっこークビはねろ!」。とまあ、畳みかけられるかゆいところに手が届く歴史解釈に、溜飲落としまくる視聴者でありましょう。
 そして、ばっくれた光成の様子の描写、「義の人」の他に「経済の人」の面を描く。そして「経済の人」であることは、「利に聡い」ということとは違うのだということを、渾身の演技ではしのすけチョーキング。一応「光成捕縛の謎」に対して、大石静さんなりのオトシマエをつけた感じ。やっぱこむずかしいゲージツ作品より、数段いーんじゃねぇか。で、打ち首なわけだが、シュタッといった瞬間に秀頼がぽとりとボールを落として、淀君泣き崩れるっつーのは、なんつーパンクな喩えなんだ。わはははは。
 一豊と千代は氏を見届けて、うるうるしたあとは、功名の手柄話。千代「大きな城、大きな国だけが、しあわせのあかしじゃねーんじゃねぇの?」。一豊「だよなぁ〜」。でもって、土佐やるとと言われた一豊ポカ〜ン。ドラマトゥルギーの基本図式である、戦争の力学関係について、猪八戒ちょ〜説明的に語っちゃう。大サービスじゃんか。わはははは。放心状態で帰る一豊「もらっちったよ」。しかし、家来の先頭で「おめでとうございます☆」、一豊「千代のおかげじゃ」。巧みな伏線が塗り重ねられて、苦い喜びが炸裂する。セピアの映像で酒を酌み交わす人間の逝ってよしな姿に、ぬらっと敗者の亡霊のようなものが、残像として浮かび上がる仕掛けすげぇ。酒が呑める酒が呑めるとちょけまくって、一気のみの一豊はハイキングウォーキングの一気のみして、「グォ」とゲップする。わははははは。
 ここで、六平太@香川照之登場。土佐に浮かれるな。「あそこは残党だらけ。ここで忠義が試される。福島だと裏切るかもしれねぇぢゃん。おまいら試されているんだよ」。で、六平太が内情を探りに行く。最初からわかっていた、桂浜ホロコーストなわけだけど、ここまでいろいろ塗り重ねてあると、どうってことない気はする。すげぇもんだな。w
 最後は領民に厚く、忠義を尽くした光成絶賛でちゃんちゃん。