むくわれない一豊

 横浜に帰ってきて、みんな外出していたゆえに、昼飯は中華街で一人で喰うことに。ついでに元町公園プールに行くことにする。花火なので関内付近は昼間から浴衣姿のカップルが多い。一度空調のきいた納涼船からみてみたいとは思うが、蒸し暑いところで何時間もみるのはかなり辛い。岡山時代も一度も旭川の花火を見に行ったことがない。横浜球場くらいまで来ると今度は野球人が多くなった。球場の周りでは当日売りを待っている人々がいる。巨人戦なんだな。その昔、球場ができたばかりの頃、よく並んでみたものだ。
 などと考えているうちに中華街へ。まずぶらっとする。廟が一つだったのが、元町方向にもうひとつできている。すごいにぎわいだ。萬来軒という大仏次郎懇意の店で形見分けまでもらったという店が、なくなっちゃったかと思ったら、同じグリーン系の外装の店が、別の場所にあった。ビルになっている。同じ店だかはわからない。ともかくどんどんかわって、ワクワクするような街並みになっている。中華街初登場一本麺とか、メントレにも出たアワビそばとか、いろいろ目に付いて、どれもこれも食べたくなる。
 大学院時代祖父母も亡くなり多少経済的にも余裕ができて、夏休みになると、毎日のように家族やその他で手分けして、一通りの店で五目焼きソバだけを食って比較したり、らんちの比較をしたりした。細い道に分け入り、路地奥の店に飛び込みで入ったりして、情報交換をした。もうその頃の迫力はないから、新しい店をしらみつぶしにするという気力はない。どこの店にも美味いものがあり、どこの店にも美味くないものがある。まあ、インターネットで精度の高い情報が得られる時代になった。
 それでも、一人二人で美味しく愉しむのはむずかしい街である。どうしようかと思った。何度も言ったが、料理人の出入りは激しい。評判はコロコロかわる。神奈川新聞のガイドを見て、家族経営の店というのはチェックしてある。そこに行けば安定しているだろう。で、考えたのが六鳳居の団子粥と小皿。おかゆと言うと安記と謝伝記が有名である。前者は丸谷才一のエッセイにも出てくる。でも、私は、むかし、団子粥をよく喰いに行ったのだ。小皿でいろいろとれるという工夫は、中華街ではここが初じゃないの?あともう一つ、おかゆがけっこう多い。他は少ないんだよね。私には。w しかし、なんかおかゆもいいけど巻揚げも食いたくなる。私は中華料理のなかで巻揚げが一番すきなのだ。春巻きじゃないよ。で、同發で巻揚げとカレーライスかやきそば、あるいは楽園で巻揚げと焼ききしめんと思ったが、どちらにしてもこれは二人分のメニューだろう。麺類と言えば、海南飯店の汁なしネギそばも食いたくなったが、サイドメニューがむずかしい。二人なら、おかず分けてみたいにできるけど。じゃあ、大新園のつけワンタン。水餃子仕様のワンタン。つるつるして美味しいの。二人前とればそれなりにおなか一杯になるだろう。
 でも栄養のバランスが・・・などと、中華街を徘徊しているうちに国賓菜館の前に来た。で、久しぶりに水餃子を食べることに。もう一品はビーフンに。この組み合わせはこの店ではよく食べた。20年ちょっと前にできた頃によく行って、水餃子の美味さにぶっとんだ。皮がシコシコして美味しい。ついでに言えばシュウマイもうまいっすよ。両方テイクアウト可能みたい。むかしは餃子はだめだったんだけど。ともかくこの餃子は、他にないコンセプトだと思う。食ったあと、水泳に向かう。栄養を取ったので2500メートル泳いだ。往復の歩いた距離をあわせるとかなりの運動だろう。うだうだして夜は功名が辻

秀吉(柄本明)の論功行賞で賤ヶ岳七本槍ら新世代は三千石以上に加増。堀尾(生瀬勝久)、中村(田村淳)は城持ち大名に。が、一豊(上川隆也)は僅か三千八百石。三成(中村橋之助)も重用され大いに不満の一豊は城勤めは辞めると千代(仲間由紀恵)に告げる。千代は法秀尼(佐久間良子)に相談。出家すると言い出した一豊にいっそ命を絶てと迫る法秀尼。一方、家康(西田敏行)は秀吉につくか攻めるか考えていた。(やふうさんのテレビ欄より引用)

 今日は全国のお茶の間で、お父さんがウンチクかましまくりだったでしょうね。ほめて育てる。つれなくして、忠誠心を試す。吹きまくる秀吉。ネネも、三成はほめて使おうとしている主人の心がわかればそれなりの椰子だが、舞い上がってたらただのアフォみたいなことを言っている。そして、永作博美淀君華麗に始動。邪悪と業と諦念と・・・みたいなあれやこれやを、わかりやすくザックリと提示する。三成とのやりとりのなかに、またマトリックスをつくっているようだ。まあしかし、本日の最大の見所は、朴念仁一豊ちゃんの愚痴。愚痴愚痴愚痴愚痴。ワシが一番秀吉ちゃんに貢献したのにと、馬路で悔しがる。家康につく、出家する、百姓になると吹きまくり。それもイイと千代がしっとり言う。全国の仕事に疲れたお父さんたちは、癒されたでしょうねぇ。w すねて似合う面じゃない一本やりの一豊ちゃんがすねまくり、母に「逝ってよし」とゆわれ、チキンにビビっていると母がワシがやっちゃるとドスもって突進、わわわわわと動揺する一豊。そこで千代が剃刀もって、「旦那さま涅槃で待つ」などと沖雅也のようにキメ台詞シャウトして頚動脈ぶった切ろうとする。一豊は、日景忠男のような懐の深さはあろう筈もなく、チキンに動揺しまくり、最後は「漏れが悪かった。すまぬ」。わはははは。佐久間良子の好演もあるわけだが、まるでトリックの一こまのような面白真面目な展開には脱帽なものがありました。