阿部サダヲ/麻生千晶

 大正大学での研究会から電車に乗っているうちちょっと気が変わって横浜に帰ってきた。深夜近所の本屋とコンビニに行くのが一つの習慣になっている。コンビニには住宅街のコンビニとは大違いの雑誌群=ほとんど893向けみたいなのがならんでいる。本屋は、ほとんどがエロ系とグラビアとDVD、あとはコンビニよりさらにハードコアな雑誌群、マンガもありえねぇような出版社のものがならんでいる。普通の青年マンガなどは非常に数が少なく、少女マンガは別の意味でハードコアなものになっている。この本屋の経営者はけっこう本屋としての意気地がある人のようで、マニアックな本を集めたコーナーが一棚だけある。本店の人気本というコーナーはけっこうほかでは得られないような情報が得られたりする。
 普通のマンガのコーナーwを見たら、医龍の六巻と七巻が抜けていた。買った人がいるということである。麻酔医荒瀬の過去とオトシマエが描かれた巻だ。野毛の街でこれを買った人は、まったくそんなことドーデもよく買ったのかもしれないけど、なんとなく意味を見出したい気持ちになった。自罰としての金の亡者、その金をくだらないことに浪費する安らぎ、そしてそれをあたたかなまなざしでみつめる店の人々などのなかで、汚れちまった純血と情熱が堰を切るシーンは、不思議なくらい素直に脳天に突き刺さる。文学的に言ったら、必然性もへったくれもなく、ドラマ性も紋切り型で、なんじゃこりゃなんだろうけど、「間」は抜けておらず説得的なのは、絵や文字のマジックというか、マンガ表現の妙なんだろうと思う。文学の亜流としてみると、この面白さは絶対にわからないだろう。鳥山明のようなきれいな絵にしか興味がなかったのだが、最近のマンガのくずした絵、デフォルメが極端に強調された絵の意味合いというものが、なんとなくわかったような気にもなった。
 しかし、荒瀬の絵は、配役まで決めてドラマ化を狙って描いたとしか思えないくらい、阿部サダヲはモロじゃんかっつーかんじだ。これまでは竜ちゃんの弟かよって感じのときもあったが、今回の医龍では、イエローヘアーで、パンクでめっちゃかっこいい。亀頭先生を夏木マリにしちゃったことといい、なかなかすげぇもんだと感嘆したのであった。ともかく、荒瀬が飲みやのねえちゃんを助けるシーンを阿部がどう演じるかは実に楽しみなものがある。
 今日は功名が辻なわけだが、筒井道隆亡き後、楽しみは香川照之長澤まさみの行く末だけと言ったら言いすぎだが、興味は半減した。しかし、これからまだまだ見せ場はアリ、新展開もあるだろうし、まだまだ見逃せない。今回はうまっちで、千代がほめられるの図。

 馬市で一豊(上川隆也)は見事な馬に一目惚れする。黄金十枚という値段に千代(仲間由紀恵)は別の意味で驚く。伯父に持たされた鏡箱の中身と同じだ。「千代も妻という役目でこの乱世をともに戦ってまいりとうございます」。その言葉は信長(舘ひろし)から心が離れた濃(和久井映見)の耳にも届く。信長は千代・一豊夫婦を城に招き、黄金十枚で天下に山内の名を売ったと、千代の才覚を絶賛する。
http://tv.yahoo.co.jp/tv_show/nhk/komyo/story/index.html

 どうも一豊は、素直じゃなくぐずるようなところもあり、朴念仁ぶりが楽しみなことであると思っていたら、ワロスっす。「馬買ってやるよ」とゆった千代に「なんじゃその得意気な顔は」「隠していたのか」「高みから見下ろしおって」「じゅるいじゅるい」とすねまくる朴念仁。いいすぎたところで千代泣く。「こんなことまでおっしゃった、ふえ〜〜〜ん。一緒に乱世を闘ってきたのに」。ビビリまくる一豊。「買おう買おう馬を買おう」と、もうその辺のバカ男状態に手玉に取られ、超ゴキゲンで馬に乗る。まあこれはいいとして、光秀萌えな濃がしのびで城下にでちゃう。もう暴れん坊将軍か、水戸黄門かっつかんじね。で、怪我をして、千代が助けるの。「なんかあるならいいなよ」とか、気さくな千代。秀吉母親のときは、あとでわかって、水戸黄門の印籠を見せられた椰子のように米搗きばっただったが、さすがに今回は名も告げずに濃は去る。これで終わりかと思ったら、信長に目通りしてもらってほめられた夫妻のところに濃がお輿でお通り。窓開ける。顔見てぶっ飛ぶ千代。どっひゃああああ。濃は巾着を渡す。中には砂金が。結局ロハで名馬をげとして、名声も得たとんでもなくラッキーな一豊ちゃんだったのです。しかし、ありえねぇ。でも、けっこう面白いよ。
 麻生千晶は、もっこ舘ひろしはいい俳優だけど、信長はないなどとゆっているようだ。偶然だが、麻生のまとめサイト見つけちゃったよ。麻生発言集。wGJ。
http://mirror-ball.net/2006/04/post_55/
 ダービーで野毛の街はものすごいにぎわいだ。勝ったのはメイショウサムソンらしい。この馬については、馬主が藤岡琢也みたいな短髪ひげのでぶせん系かどうかということが、ちょっと興味あったりする。『サムソン』ってまだ出ているのかね。どうでもいいけど。