愛憎のマトリックス史観?

 本日の功名が辻は、小谷落城。最後の方の桂浜の一揆騒動ほどではないにしても、きれいごとのおちゃらけではすまない回の一つだろう。まあしかし、「信玄立つ!」などとタイトルをつけておきながら、一回も信玄が出てこないっつーだけではなく、けっきょく時間をかけて描かれたのは小りんこと長澤まさみに一豊がケロケロにされますたちうことでしたからね。だから、小谷落城だって、市が戻ってきますたで、よごれは小りんと香川照之におまかせよで、朴念仁チームはずっこけお笑い「殿」「なりませぬ」でほのぼのかと思っておりますた。
 が、おみそれしますた。いきなり出てきたのは、「親方さまは市さまに妹以上の感情をお持ちで」・・・。これで、ガキが一人ぬっころされることの鮮やかな伏線になっているのね。要は、もっこしも、秀吉も、市萌え。そこに、寧々とか、正室とか、光秀とか、いろんな人々の愛憎関係がからむ。愛憎のマトリックスで、すべての歴史を説明してやるよというような「二人っ子」脚本家の気迫がここに込められているかどうかわからないけど、明確に一つの史観から作品世界を構築しようとしていることだけは確かじゃないのかな。「二つの顔をおもち」のサルが魅せるさまざまな表情が、ドラマをきりりと引き締めている。しかし、助けだされた万福丸のポカーンとした表情はトラウマだったなぁ。とかくホームドラマ調に流れがちのドラマを、サルの「奇麗事を言うな!」というせりふで喝を入れていたのにはワロタ。

小谷落城

市(大地真央)の無事を祈る千代(仲間由紀恵)の思いをよそに、信長(舘ひろし)軍は小谷城攻撃を開始。夫の長政(榎木孝明)とともに果てる覚悟でいた市は、長男・万福丸の助命を条件に城を出る。約束したのは秀吉(柄本明)。しかし勝利ののち信長は万福丸磔刑を命ずる。磔刑の号令を下す一豊(上川隆也)。一豊は落涙し千代に詫びる。千代も約束だった手縫いの打掛を市に渡し号泣して詫びるのだった。
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 そうは言え、磔にして戻った一豊を迎えた千代は、嬉々としてこけたりし、「つまりませぬ」などと得意のやり取りをしていた。とりあえずはうそをついてみる一豊。仏門に入られたと似合わぬウソ。千代「顔色がまっつぁおでございます」。おおおおおおお、キターか???「すまぬ!」と思ったが、それは出なかった。換わりに出たのが、「ゆるせ!」。でまあ、一豊ちゃんははたしてあっさり歌いまくり。「ぼくがやりますた」。千代「よく話してくれますた」。原作の千代は、「このバカ殿があっさりはきやがって」みたいな底意地悪いところもあるらしいが、これはそうでもない。一応最近頻出の「殿」は出た。
 そのあと手柄の秀吉と一豊は褒美をもらうが、秀吉はついに城持ちになり、苗字を変えろといわれ、丹羽と柴田から一字ずつもらうとソツのない秀吉。このあと、酒の肴に持ち込まれたのが、ガリコの頭んところでつくった杯。ガリコの金粉姿づくり付き。「飲め」と酒を注ぎ、ぎゃははははと飲む秀吉。対称的に、哀しい表情を浮かべる光秀。正室のアップ。おおお。またも・・・。前の主人の杯では飲めない光秀。飲めと言う逝っちゃっているもっこし信長。マトリックスの絡み合いが、本能寺を暗示する。
 最後のシーンでは、朴念仁一家のわきあいあい。ふなずしを喰う金パチ。「げろまづー」というのかと思ったら、「んまい」だった。娘たちについて、説明的なナレーションが一切なかったのにはびっくりした。
 忙しいのだが両親のかんたん携帯の争奪戦が激化しているということを聞いたとき同機種のプリケー=小林桂樹藤岡琢也CFのやつを吉祥寺のコンビニで見つけたので買って、親に渡しに行った。一応父親の誕生日と言うことなので、まあいいじゃんかっつーことです。ところが手続きミスで電話が使えず、横浜駅西口のTUKAショップへ。ぢいさまの体調云々もあり行きも帰りもタクる。行きにプリケーをもたずに出て、ついた頃気づいてまた引き返し、片道で一往復半かかってしまう。帰りに西口の高島屋に。デパ地下の盛況はものすごいもので、品揃えもいい。吉祥寺の三越が閉店というのもなんとなく理解できた。あの程度の入りでは採算がとれないだろう。高島屋上の某階でゼミの卒業生が労働しているはずなのだが、見に行くのはやめにした。昔教師なりたての頃、授業聴きに行くと後輩にずいぶんからかわれたしね。帰ってテレビ。今日はからくりテレビの特番と、功名が辻がある。うちの父親は時代劇なら何でも好きだという人で、大河もほぼ見ている。からくりも毎週見ている。前者は衛星放送でみるのかなと思っていたら、な、なんと野球を見るというのだ。これにはぶっとんだ。うちの父親は家族で唯一の野球興味ない人で、毎週のように我々がハマスタに行っていたときも、留守番していた人間だ。それが野球をみるというのだ。それが野球を見る。一同目が点になった。WBCの効果はすごいものがあるなぁと思った。