「映画をダメにするもの」

 今週も虎の門こちぢばがあるようで、時効警察のあとも音楽番組にしないで、見続けた。MCはロッテ初芝。ユニフォームを着ると、近頃めずらしい職人肌のバッターに見えるのだが、こうしてみるとそれなりに今の人というカンジがする。といきなり野村アナウンサーの「お断り」。なんですとぉ!ブラックタイガーの一発ギャグは中止デスとぉ!と思ったが、まさかワシしか投稿がなかったんじゃねぇだろうなとか、思ってしまった。なんかだけどさ、有田がちょいわるとかゆってていて、スタジオの雰囲気は微妙だった。井筒和幸さんが、はじまる前からキレているのでわ?などと思ったりもした。一応の理由は、ネット検索山崩しがあるということ。スタッフが「井筒さん端折って」とかゆったんじゃねぇだろうな。
 まあそれはともかく今日のこちぢばは、映画『ミュンヘン』。オリンピック選手村でゲリラがイスラエル選手を全員殺したという事件の事後談。モサドの暗殺隊が、ゲリラを追いつめて暗殺してゆくというお話。シオニストにも、パレスチナ側にも批判されている映画だという。スピルバーグは、アクションとかそういうのを撮らせたら、無敵で、すごく面白いことは誰も否定しないだろう。ところが大作っぽいものを撮ると、あまりにわかりやすいヒューマニズムと、技術の冴えが不協和音を起こしたりすることは一度ならずである。リアルだけどアレ、っていうか・・・。ヘンな話だと思うかも知れないけど、対照的だと思うのはリュック・ベッソンで、この人はものすげぇゲージツ的なセンスあふれる作品をアクションとして撮っていたけど、ぶっとんじまった。娯楽のなかに、押しつけがましいアレな理屈もなにもなく、ポップな速度感は実にゴキゲンである。で、まあ、けっこう評判のよい『ミュンヘン』はどうかというのが、本日の井筒が斬るの焦点である。生井亜実は、鈴木善貴のような吉本芸能学院まがいの滑舌で「みにいってきますた」とかゆっているのに対し、MEGUMIやくりぃむ有田がつっこみまくる。「噛んでない」「巧くなった」とさんざんな結われよう。でもって有田「ようやくオレから卒業できたな」。
 井筒和幸は、途中までけっこう機嫌がよかった。このやりとりをにこやかに聞いていたし。でもまあ、映画を見て、11人のターゲットのうち7人を殺したというだけの映画。妻や誕生した子どもへの愛、撃ち合いのアクション。なにを見たらいいんだみたいなこともサラッと言いつつ、「殺し屋あんなもんやないでぇ。赤坂の飲み屋でみた奴はすごかった。二度と会いたくないって感じ。赤坂見附の二階のお茶や。銀杏食ってた」。wこれにたいして、生井亜実は「銀杏たのむんですか、あはははははは」と久々に生井亜実らしいしぶとさをみせている。井筒の殺し屋ネタは、六平直政が出た時「みたよなぁ」などと盛りあがっていたやつだ。
 とまあここまではよかったのだが、突然ぶち切れる監督。ヘンな演出いらない。もっと事実をとって、メッセージを込めろ。ボクはもうイヤだと消えてゆくだけの映画やないけ。なんやねんと気合いのネタバレ。しかもぶちきれてひっぱるひっぱる。「金もらって、殺しに行って、11人中7人殺していやになった。妻や子どもへの愛と葛藤ってなんやねん。こんなもの見せるな」。死体転がりまくりなのに撲殺シーンが一切なく、しかし残虐やなにやかにやが鮮やかに見えてくる股ぐら一本筋とおった『ホテル・ルアンダ』と大違い。井筒監督の言っていたことは「スピルバーグもっとちゃんと撮れ」ってことで、おまいはだめってことではないみたいだ。よって批判されているものは、ここでもやはり「映画をダメにするもの」ってことなんだろう。