スタイリッシュなぢぢい

 ピストル・オペラをみたときに、スタイリッシュな歌舞伎まくり映像美、色彩美などというと月並みだけど、キャラの濃いスナイパーの競演・饗宴はエンタテンメントに堪能できるものではなく、パンクにはじけるというぢぢいとは思えないとんでもねぇもので、映像は内破されるっつーか、ユンボがもんどりうってでてくるというあまりにベタな比喩的映像には笑うしかなかったし、エゴラッピンの「野良猫のテーマ」はかっちょよかったし、座敷童子仕様ほかなんとも言えないワールドを堪能したものでございますけれども、今回の新作オペレッタ狸御殿には馬路ぶっ飛びました。テレビのCFでみて、次長課長にお笑い芸人呼ばわりされたオダギリジョーが、『嫉妬の香り』のぶち切れたあんちゃんともまたちがう、虚無な眼で存在しちゃったりしているし、それがオペレッタデスものねぇ。新星堂にはいろんなところにならびまくり。お笑いのコーナーにも一つあったよ。誰かがもっていったのかね。シャレで。わはははは。禿げしく笑いますた。しかし、すごすぎますよねぇ。あまぞんさんちのご紹介を引用。

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かつて美空ひばり若尾文子らが主演し、日本映画の黄金期を支えた人気シリーズ「狸御殿」が鈴木清順監督によって復活。「がらさ城」の城主である実父から命を狙われる雨千代が、唐の国から来た狸姫と出会う。狸姫の御殿に閉じこめられた雨千代は、彼女と惹かれ合っていく。チャン・ツィイーオダギリジョーという美男美女の共演による、ケレン味たっぷりの映像絵巻。
オリジナルシリーズと同じくミュージカル形式で、背景は舞台装置のような簡素なセットや、一枚の絵…と、現代の映画を見慣れた人にはすべてが新鮮かつ異様な映像。一方、音楽はポップで軽やかな曲調なので耳に心地よく、とくに主演ふたりのデュエット「恋する炭酸水」の場面では、ツィイーの衣装も効果を上げ、うっとりしてしまう。デジタルで再現される美空ひばり、起承転結を無視したストーリーなど、常識では考えられない発想も清順監督らしい。まったくついていけないか、不思議な世界にハマるか、これだけ観る人の感性で評価が分かれる作品も少なく、その意味でも必見。(斉藤博昭)

内容紹介
2005年(第58回)カンヌ国際映画祭特別招待作品
ハリウッド女優・チャン・ツィイー日本映画初出演!世界が認めた絢爛豪華なラブ・ミュージカル大作が、3時間にも及ぶ特典映像を満載したプレミアムDISC付き豪華2枚組仕様で早くも発売。

 いやあ、「けれん味タップリの映像絵巻」には笑いますた。レビューのなかには、「ピストルオペラ」よりわかりやすいとあったけど、そうかなぁ・・・。見方にもよるよね。しかし、レビュー人の「安っぽい映像」というのはどの意味なんだろうか。安っぽめかしたということなのか、それとも安手というのか。前者ならわかるけど、後者だとちょっと違うと思うぞ。ボクはけっしてセージュンは好きでもないけど。「ソーダ水の雨が上がって〜」というフレーズが「なぜか・・頭をかけめぐる」という文言には得心。「チャン・ツィイーのたどたどしい日本語が妙にかわいらしくほほえましい。そして、美脚にノックアウトされた」。一般的な見方だと思う。「尾形光琳『燕子花図屏風』などなど〜を背景に幼少のころからバレエを習っていたという、チャン・ツィイー(狸姫)の可憐な美しさと、オダギリジョー(雨千代)の包容力。オダギリジョーが『霊峰・快羅須山のララバイ』を端正に(楽譜の通りに!)詠っていて、これは凄いな、と思いました」。これはやっぱりフツーに見所なんだろうね。