メンチカツ

 休日だが仕事があるので出勤。三連休ならぬ三連勤とは、あるみくしのことば。秋の土日は予定つまりまくりなのである。土曜に三つずつやる集中などもひきうけてしまったのであった。おまけに11月〆切二つあるし。愚痴はともかく、昼休みに西荻で買い物をしてメシ。西荻には大型店が西友のみで、味のある商店がたくさんあることは、つとにしられているとおり。駅前のマチダ文具店でLihitのe-ringsを購入。前にここにかいた360度回転するリーフノート。前に大学の購買で買ったが、今は品切れ。ちかくではここがLihitの取扱店なのである。個人商店だが、活気のある店で、品揃えもなかなかのものがある。女子大の購買も悪くないのだが、e-ringsにしても、三菱パワータンクにしても、いいものを時々入れては補充していないのがちょっと残念である。
 メシをどこで食べようかと思って、最近はまっているさかもとやへ。私はここは、ただの中華料理屋だと思っていた。あっさりした、上品な盛りつけと分量の、東京の大人の人、つまりは西荻住人がこのみそうな、五目そばだとかそういうものがおいてある店。ところがその店が、アド街っく天国に出てきたのでぶっ飛んだ。そしてみんな知っている。なにをか?ここのカツ丼を、である。「普通のことを普通にやっているだけ、それがむずかしい」とかゆっているけどわけわかめだった。グルメ評論家のYも絶賛していて、ついでに「ここのメンチカツは東京一」ともちあげていた。
 そんなにうめーのかなぁと思った。すぐにでも喰いに逝きたかったが、テレビでやったあとはやばすぎるので、暫く忘却しておいた。でもって少し前に思い出したので、いってみた。たしかに美味い。おやぢがカツを揚げる。おばちゃんがだしやタマネギを煮ながら待機。揚がったカツをポイと入れ、卵をからめてどんぶりの上へ。そして手早く出す。味はからすぎず甘すぎず。卵は煮すぎず。それによって、食べるときにカツのカリッとしたカンジが実にくりすぴぃ。肉は軟らかくて、まったく臭味がない。これが「普通のこと」の意味あいだということがわかった。煮すぎて衣がふやけたりしている店や、肉が臭かったり、筋張っていたり、そういう店とは異なる。
 劣等比較の対象は母校の生協カツ丼@1970年代。アレは酷かった。ころもはふにゃふにゃ。肉は脂身多いし。組合員の声に投書したら、「赤身の多いところもあります」と掲示されていた。あの自信満々には笑うしかなかった。そういえば、カレーも身が入っているのは行幸ですらあったなぁ。タマネギ一枚入っていないこともあった。もちろん苦情を言った。もちろん返事は「身がたくさん入っていることもあります」。今考えると懐かしい。だから、岡山大学の食堂は、馬路美味いと思った。そういえば、大学裏のともという店のカツ丼もうまかったなぁ。揚げすぎというくらい揚げコンであって、そこにメッチャ濃厚な辛い出汁が絡まる。卵はほんの少し。ささみカツ丼がとくに、揚げこみと、出汁の辛さが引き立っていたと思う。あの店は、岡山大学に生協ができて、抗議の閉店をしてしまった。テレビ中継をやっていてぶっ飛んだ。
 話は元に戻るが、ともかく「普通のカツ丼」にはまっていて、今日もカツ丼を食おうと思って店によると、定食が「メンチカツ」になっていた。「一ヶ月に一度しかでない」とかゆうので、これは喰うしかないと思って、カツ丼はやめにして、メンチカツ。女子大界隈では、吉祥寺のサトウという精肉店のメンチが有名だ。松阪牛の肉を使った、ボール状の巨大なメンチ。気持レア。かぶりつくと肉汁ジョワっとでるのである。洋食屋のメンチは、ハンバーグと同じく、独特の香料を使った風味が美味しい。サトウのメンチにはそういう意味での「仕事」はないが、非常に美味しいものがある。ならぶのがウザイので滅多に買わないけど。
 で、「東京一のメンチ」がどのようなものだかとワクワクしながら待った。出てきたのは、トマト、スパゲッティ、線キャベツの上にのった二つの何の変哲もないコロッケ状の物体。またもや「普通」である。食べてみて、まず思ったのはこれって肉の多いみーところっけじゃねぇのということ。しかしよくみるとタマネギみたいなのが「『仕事』してるんだよごるぁああ」みたいに顔をのぞかせている。わざとらしいはずかしい言い方だが、そういうのが一番適切なんだから勘弁して頂戴。要するにつなぎを使った「ごく普通のメンチ」なのであるけれども、メンチという既成概念がぶちこわされるような一品であった。もちろん美味いよ。カツ丼もメンチも量もあまり多くないので、健康に悪いということはないと思う。少なくとも普通の体重の人には。
 明日は父母会なので、床屋に行かなくてはと思った。さかもとやと女子大通り一圓を結ぶ小道、有名な−−昔浅川マキ、今はオカリナの−−アケタの店ラドン温泉がある通りに、昭和三十年代にトリップしたのではないかというような床屋さんが二軒ある。シートが一つとか二つという店。その一つで散髪した。なかなかの技術で、癖っ毛も上手に処理してもらった。顔そりもしてもらって、すっきりして仕事をするはずが、ブログをかいてうだうだしてしまった。あーあ。