将棋の羽生善治四冠がスポーツ評論家の二宮清純氏と対談をしていて、そこでものごとを単純化して考えるということを言っている。難解な局面の多様な広がりを単純化して、明快な手段として洞察する。将棋では、強い人ほど見える手の数は少ないのだという話をよく聞く。難解複雑な場合わけはいくらでもできる。それをあーしようか、こーしようかなどと考えるのは弱い人で、強い人ほど一目でよけいな手は捨象され、少ない手しか見えないのだというのである。そういうことはよくあることだろう。*1授業などでわからないという声はいやというくらい耳にしている。そして授業の反省として、「わかるということ」はどんなことなのかを伝えられないからわからないのではないかと思うに至った。そんななか手にとったのが本書である。
- 作者: 梅津信幸
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/08/08
- メディア: 新書
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http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003743.html
「立ち読み用」などと言って、書物の最初に明解な要約がしてあるので、書店で手にとって見れば、すぐに概要はわかる。大学の低学年教育に長いこと携わってきていて、「社会学的にわかる」というのはどういうことなのか、きちんとしないといけないなぁとおもう今日このごろ。