コシミハル二枚

 吉祥寺に戻ってきて二階建てに変身したブックオフにはじめて足を踏み入れた。ともかくマンガとCDは異様なまでの品揃えになっている。他方教養書の類は、高校の参考書とと実用書と学術書などがハイブリッドにならんでいて、それなりに壮観なものがある。とりあえずひとまわりして、昔のものでもないかなぁと思ってみていった。あいかわらず廉価コーナーはサティスティックなまでに厳選されていて、有り体に言えば、さすが安いだけのことはあるというか、買う気にならないものが多い。で、1000円以上コーナーをいろいろ見たら、むかしのフォークとかあって、はまったらやばそうな雰囲気。で、びっくりしたのはコシミハルが個人名で品揃えしてあって、三枚ほどあったのだ。うち、『パスピエ』と『父とピストル』というファンハウスのものを購入。91年ころのもの。忘れていたが、なぜか「おどやんとてっちゃん」のてっちゃんを見るたびに思い出す。w ググってみたら、略歴のようなものが出てきた。

 78年シングル「ラブ・ステップ」で、実力派アイドルシンガーソングライターとしてデビュー。その後シンセサイザーによる多重録音に傾倒し、よりアーティスティックな活動を始動。83年、デモテープが細野晴臣の目に留まったことから、Yenレーベルより『チュ・チュ』をリリース。翌年にはテレックスのサポートをうけヨーロッパ・ツアーを開催。続いて細野晴臣、野中英紀、西村麻聡とF.O.E.を結成。「銀河鉄道の夜」サントラ盤や他アーティストへの楽曲提供もさかん。96年からは細野晴臣とのユニットSwing Slowで活動中。2001年4月リリースのアルバム『Frou-Frou』(フルフル)は、40年代のスタンダードジャズやシャンソンを中心に楽曲を集め、好評を博している。
http://www.ann.hi-ho.ne.jp/izutsu/shKosiMiharu.htm
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 アイドル時代というか、スター誕生番組出てきて、清純派アイドル全盛期に浮きまくっていたのを思い出す。それでもそれなりに必死で、それ自体が異様な感じに見えた。今なら、もっとぐだぐだやっていて、それからなんとかなってゆくというかんじなのだが、ともかくこの時代はこういう素養の人もこういう道を歩んだんだよなぁとあらためてしみじみと思った。まあそのころは、弾き語りでちょっとセンスありそうな人が実力派で逝きますっていう風だったのが、上にもあるようにぽちょのぱるおみだとか、森雪の丞だとか、いろんな人たちと関わって、アートっぽくなっていって、そのころ出した、あんまりマニアすぎないちょっとウレセンっぽいポップ音楽と、この人のパフォーマーとしての存在感が実にイイと思っていたのだが、そこに限定することなく多方面で活躍しているようである。楽曲提供も多く、浅香唯石川ひとみ/荻野目洋子/沢田研二/少女隊/原田知世/PINK TANK/細野晴臣/村瀬由衣/森高千里他。編曲が、浅香唯薬師丸ひろ子裕木奈江他。こうならべてみるとそれなりの傾向性はあるような気がする。就中少女隊なつかしいものがございますね。
 しかし、やはりパフォーマーとしての存在感がもっとクローズアップされてもよいというのが実感で、それなりにテレビでプッシュされたこともあるわけだけど、さほど注目をあびるでもなく、今日に至っている。もっとも、たとえば野宮マキとかが出てきてしまって、アート的にもあそこまでやられてしまうと、アート仕立てのジャケツもなんとなく、ゴーバンズなカンジに見えてしまわないこともない。しかし、まあやりたいことをやりたいようにやっているというぐだぐだ感はあって、私の言うパフォーマーとしての存在感も小さなところでジャズやシャンソンを気持ちよく歌うみたいになっているとすれば、それもまたいいなあとは思うというか、むしろその方がよいというのが自分の思想的立場なのかなぁと思わないこともない。