江口寿史『JUMP WORK 1 ストップひばりくん!』

 ランがまだ使えるみたいだし、今日は一日中大学で仕事だった。こもってお仕事。そのあと水泳。そして、久々に阿佐ヶ谷にメシを喰いに行った。福來飯店でメシを喰い、本屋で立ち読みをするというのは、比較的のんびりした時の日常だ。歩こうかと思ったのだが、泳いだし、暑いし、やめておいた。佐々木倫子以外にかったのは、江のひばりくんと、近藤ようこ春来る鬼』。後者はすでにもっているのだが、誰かが借りパクッたのか見あたらない。めんどいから、買ってしまった。前者はもっているのだが、イラストギャラリーだとか、インタビューだとか、CD-ROMなどがついているということで買った。CDには、壁紙デスクトップピクチャー、スペシャスクリーンセーバー、時計・カレンダー機能付きスケジュラー、iPod photo 用画集、テンプレート集(名刺・ポストカードなど)がついている。まあこれは買うでしょう。

 江口は、言うまでもなく白いワニだぁああああで、あんまし描かなくなっちゃったわけだけど、イラストレーターとしてはかなり自負するものがあるみたいだし、実際非常によいものをたくさん描いているように記憶していた。で、まあポップアートのような絵をギャグマンガにしてしまったのがひばりくんで、抜群ダヨなぁと思っていた。とある学生が、ごくせんおかま仕様などと言っていたが、あたっているようないないような。で、あらためて読んでみると、やっぱちょっと時代的制約があるような気がしないこともない。20年以上前の作品ということからすると、やむをえないのかもしれないわけだが、「矢沢あいなんかよりずっとポップ」と学生に大見得をきったのは、あまりに気合いがすぎたかもしれない。それでも、最近描いたとおぼしきイラスト集などは、なかなか健闘しているんじゃないかと思う。それにしても、こんなものをよくアニメにして、ガキが見ている時間にやったものだと思わないことはないんだが、幼稚なうちのぢぢいは、悟空とひばりくんはかならず見ていたから、案外ガキにもうけるのだろうと思う。
 浦沢直樹とか、鳥山明とか、安心して読めるマンガ家の絵は、わりかしかっちりしたものが多いと思うし、江口もかっちり系な文化圏にいるのだろうとは思うのだけれども、破調な部分が単に崩しているとか、余白をつくっているというのではなく、西原理恵子の作画にときおり見られるような線の美しさやリズム感がページの基調になっているところがあり、スゲー新しいなどと思うと同時に、じゃあきんどーさんとか、ガキデカとか、あるいはデキンボーイとどこが違うと言われると、ちょっと違うんじゃないとしか言いようのないところがあってなんともにんともです。しかしそれにしても、かなりトラウマな絵やイラストが多く、江口は無理せずよくやってきたなぁと思ったりした次第。
 このシリーズは、パイレーツやひのまるが所収されるみたいだが、やっぱ地獄少年うしみつ君@『NANTOKANARU DE SHOW』は掲載の仕様もないんだろうね。手術で光を取り戻した少女の話とか、怪獣が電車をあぶって喰う話とか、やばいほど面白いネタ満載で、話題騒然であり、ビデオ版(たぶんビデオ屋にはあるんじゃないだろうか?岡大前のビデオ屋にはあったけどね)まででて、教養部の授業で話したら、みせろとかゆわれて、ショーがなく見せた記憶がある。近藤の作品は再三論じたので作品紹介のみ。
 わかりもせずに理屈をこねてしまった。こねてしまった以上ひらきなおるしかないよな。

春来る鬼

春来る鬼

著者の短編の中でも一つの完成形を示す80年代前半の作品を収録。時代に左右されることのないストーリーの完成度は常に高い評価を得ている著者の、現在に至るまでの原点が凝縮された貴重な一冊!/収録作品:「くらくら」「水の女」「薄荷煙草」「純情」「鈴木さんの日曜日」「醜女の日記」「しあわせ」「生成」「寝室」「春来る鬼

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