ひなせと龍や

 今日は直島に旅行に来ている女子大の卒業生たちと落ち合う日である。レンタカーを返し、7時過ぎの飛行機で帰るという。都心でメシ食って、お茶してみたいなことを考えると、時間がかかる。辛香峠のひなせなら、飛行場からも近いし、駐車場もあるし、岡山らしいしよいのではないかという理屈づけで打診すると、それでよいということで予約した。実は、ここは教養部の同僚とよくメシを食いにきたところで、私が行きたいので提案したわけである。ここでメシを食い、それから空港へ行って、源吉兆庵などでお茶するということをよくした。日生漁港ちかくのひなせとはやはりだいぶ違うと思うけど、しゃこや、めばるや、かれいなど、瀬戸の小魚料理が食べられる。しゃこは卵がなかったが、これは季節の問題もあるのかも。めばるは黒めばるを出してもらえた。これはなかなかうれしかった。カレイのから揚げも骨まで食えたようだし、一応の使命は果たせたかと思った。都心の割烹とみしまとか一扇や動(いぶり)のほうがよかったかと、ちょっと不安な気持ちもある。まあ、こぎれいでないところにいくというポリシーを貫かせていただいた。そのあと空港でお茶をし、送った後タクシーで岡山駅に戻り、もう一件。
 ここでみんなは帰ったが、私は、な、なんと年甲斐もなく「仕上げ」をしてしまった。どうしても龍やのラーメンが食いたくなったのだ。ここは、私が岡山を離れて、だいぶしてから、というかここのところ何年かでできたお店だ。しかし、ここのところ来るたびに行っている。柳川交差点のところのラーメン屋。角煮ともまた違う柔らかな豚肉ののったもので、替え玉のある博多仕様。味は、しょうゆとしお。なんとなく、一風堂を想起させるようなところがあるけれども、香味油だとか、スープには個性があり、かつエグイ癖がない。韮、高菜、生姜、もやし、ごまなどいろいろな薬味が用意され、生にんにくをクラッシャーでつぶして入れて食うと、実にうまいと私は思う。岡山の人たちがどのような評価を下しているのかはわからない。ガイドブックの類もあまりみたい。ぐぐれば、サイトの評価はわかるだろうが、それもしていない。ともかくそういうものをみずに書いておきたかったのである。
 チーム直島は、元ゼミ生のほかに、ゼミ生の亭主や、友人夫妻などもいて、ハイブリッドだった。まあこの程度のことはよくある。カレシ同伴コンパみたいなのもあった。カラオケで、一億円の生命保険に入って誠意をみせたカレシがやしきたかじんの「一途」を熱唱するとびきりのブルースを目の当たりにしたことがある。また、合コンに呼び出されたこともあった。いろいろな話が聞けることは、それはそれで興味深いことである。