鞆の浦〜尾道航路

 集中講義二日目。少し運動不足なこともあり、備中高梁駅吉備国際大学の間を歩いている。比較的なだらかな坂道を登ってゆき、高台に出ると日本のハイデルベルクとも言われる町並みの展望がひらける。さらに山を登り城の天守までいけば、すばらしい眺望がひらける。しかし、生活の空間のなかから街並みをみることは、また違った意味合いがあるだろう。炎天下の草木の風景や、せみの声をきくと、少年時代に帰ったようななつかしい気持ちになる。よそ者だからこそ、息が詰まるような濃密な人間関係からは距離をとり、物見遊山で見物できるということもあるだろう。そんな目に映ずる地方の市民性という空文句は空しいという小谷敏氏の批判を思い出した。底の浅い理解で『忘れられた日本人』を気取るのはサイテーだと今では思っているし、あの議論はしてよかったと心底思っている。
 授業は、岡山の街をめぐる雑談に終始している。結構楽しくおしゃべりをして、進路の相談事などももちかけられ、なかなかの充実した気持ちで帰路に着いた。夕刻はまた独特の風情がある。こういうところに暮らしていれば、打ち水をして、すだれをかけて、風鈴でもつるせば、それなりに涼しいだろう。高梁の駅頭には、どこかの花火に出かけるとおぼしき浴衣の若者が談笑していた。その高梁駅で、旅行のポスターをみかけた。「尾道鞆の浦航路」とある。せとうちで最も美しいと思われる二つのかぜまち港を結ぶ航路である。まさに待望していたものであり、ネットカフェに来て早速ググってみた。2004年に期間限定で再開されたことが、『山陽日日新聞』の記事にあった。

 ともに古い町並みと雰囲気が魅力の「尾道」と福山市鞆の浦」とを結ぶ観光連絡船が、4月から6月の期間限定で運航されることになった。JR西日本が首都圏で展開する「DISCOVER WESTキャンペーン」の一つで、大手旅行代理店日本旅行の旅行商品として企画されるもの。終了後の7月以降も継続運航されるのか、尾道市行政も利用情況を見ながら、関係者との話し合いを積極的に進めることにしている。
 運航は期間中の土・日曜と祝日の合計30日で1日1往復。1人五百円。午前10時尾道駅前桟橋発、鞘の浦11時発。片道23.4kmの航路を40分で結ぶ。途中、阿伏免観音の観音堂などが望めるという。
 岡山の笠岡諸島や3年前からは尾道〜弓削航路を運営している藤井一彦さんと契約を結び、高速船(定員80人)と小型フェリー(150人)で運航する。
 今回は旅行商品を買った人だけの利用に限られ、貸し切りとなるため、個人旅行者は乗船できない。7月以降は一般客も利用できるように運航継続を検討していくという。
 尾道鞆の浦の定期旅客船は1960年代を最後に姿を消していた。市観光文化課では「亀田市長は以前から鞆の浦との航路復活を希望しており、今回の利用情況を見守りたい。7月以降も、あくまでも業者主体の運営になるが、関係者との話し合いを重ね、場合によっては補助金なども検討することになるかも知れない」と話している。
http://homepage2.nifty.com/ONO_MICHI/MENU/sannichi2004/20040221a.htm

 これが、今年は一日何往復かしているらしいのだ。二つのまちともにすばらしい。両方いこうと思うとなかなかにしんどい。この船があれば、尾道に宿をとり船で往復するとかすれば、かなりゆっくり二つの街を見ることができる。尾道世界遺産にどうかなどという話もある街である。鞆も負けず劣らずのところであり、次の機会にはぜひ乗ってみたいと思っている。贅沢を言えばきりがない。たとえば三原、瀬戸田の航路から見える瀬戸内もすてがたいわけであり・・・。ネット上を調べても判然としない。どうも一日三往復くらいしているようだ。期間限定っぽくもある。いずれにしても、いこうと思ったら、調べていってください。いってなかったといわれても困ります。(下は尾道の街)