ポータブルDVD

 講義の準備が終わったのは明け方で、今日はかなり起きるのが遅くなってしまった。急いでいたので、前にブログに書いた暮で食事をした。おしんこや煮物の副菜もしっかりしたごはんで、これだけ美味しいのに客がいないのは、たまたまいない時間に行っているからだろうか。それはともかく大学に行き、事務的な用事を済ませる。でもって荷造りをしたら、もう新幹線の時間が近づいている。今回は、帰りの日程がはっきりしていたので、切符をとっておいた。電車は六時前ののぞみ。軽く食事をしようと思って、品川駅の貝づくしという弁当を買った。これは美味しいですよ。いろんなわけわかめな貝がのっていて。昔は東京駅の弁当は芸のない幕の内と、とんかつ弁当などくらいしかなかったけど、最近は深川飯とかいろいろあって、よい傾向だと思う。品川は、新参の駅だし、気合を入れて弁当を作ったのがわかる。量もさほど多くなく、また野菜の煮物などもついて栄養のバランスがいい。
 腹ごしらえが終わると、昨年研究費の残りで買ったポータブルDVDを颯爽と取り出した。充電池ははじめて使う。三時間ちょっとの道中だが、映画を見るにはとてもよい。そして、DVDならば、吹き替え、英語の選択と、字幕日本語、英語、なしの選択ができる。今までは、数を見るので精一杯で、英語+日本語字幕という見方ばかりだったが、今日は早回し何本勝負というよりは、道中3時間ちょいみっぱなしなわけだから、時々ポーズかけてもいいわけで、英語+英語の字幕で見た。ある程度英語がわかれば、たぶん「英語のほうがわかりにくいとばかりはいえない」んじゃないかと思う。ストレートにわかる部分もある。これは、もってきたDVDがブロズナンの『トーマス・クラウン・アフェアー』であって、吹き替えと字幕と両方で見ている、フェイバリットな作品であり、要するに暗記するほどみているわけだから、英語的に言えば聞き取れないところがあるということと、あとは語彙や、ひねりの聞いた台詞回しを理解できる教養の問題などがもちろんあり、なかなか難物であることに変わりはないが、英語の字幕を見ながら見てゆくと、なかなか間抜けな自尊心がくすぐられるところはある。まあしかし、目が行くのはやっぱどうしても、シットとかクラップみたいな単語だ。
 高校時代に、英語購読の先生が、イディオムの体得にはオーウェルの『アニマル・ファーム』を読むといいと言われ、さっそく買ってきて読み、けっこう役に立った記憶がある。確かに、随所に熟語集などに出てくる熟語が出てきた。スターリン体制を茶化したなかみも、授業で無理やり読まされたモームの『人間の絆』よりは、パンクで面白く、スターリンごっこなんかをする椰子らもいた。もちろん英語の細部までわかったなんて言わないけど、大学院受験のときも、これは一通り目を通した。構文解析力をつけるには、ミルの『自由論』を読めと先輩に言われ、勉強会も組織したが、三回でやめた。でまあ、ふたたびDVDだが、こんなふうな目的別に役に立つDVDなんていう情報もネットを探せばあるのかなぁと思う。
 DVDについて言えば、語学勉強のためには、いろんな改善の余地はあるように思われる。まあしかし、語学としてやるとやっぱだめなんだろうね。外国のことに精通するくらいなら、日本のまちまちのすみずみまで知りたいと思ってきたが、最近ちょっと気が変わっている。もっとも、飛行機に乗りたくないという気持ちは、まだ変わらないのだけれども。