西荻界隈のごはん屋さん:「暮」

 ここ久しく昼飯を食うのに電車に乗って、近隣に出張し、わらじのようなトンカツを食うみたいなことは自粛している。さすがにもうそんな歳ではないのである。美味しい魚とちょっと煮物の小鉢が付いていて、ごはんとお新香とみそ汁みたいなものが食べさせる店はないかと西荻界隈を物色している。魚の弁当としては、近鉄デパートのころからある各種魚を調理したものを弁当にしてくれる店が三越にある。ロンロンにもあったと思う。鮭のハラスだとか、むつの西京焼きみたいなものがどかんと鎮座ましましているお弁当というのは、無造作なカンジはするものの、それなりの興趣がないわけではない。しかし、原稿を抱えているときなど、パソコンの前で、弁当箱を抱えながら、原稿を書くというのは、ちょっと心のゆとりに書けることなんじゃないかと思う。推敲や校正をしゃれたカフェでしたくなるのと同様に、ちょっと雰囲気のある店で、ちょっとしたごはんを食べたいという欲求は誰にでもあるのではないか。
 西荻界隈には、けっこうそういうお店はたくさんある。メニューの多さということもあって、きんせいというお店にけっこう行く。お昼はきんせい膳というメニューが800円くらいで食べられ、お刺身や魚の入った弁当になっている。日替わりで美味しい。まあしかし、日替わりの煮魚、焼き魚は、非常に美味しいものがでるのだけれども、1200−1500円位するので、そんなには食べられない。魚が喰いたいなぁ。でも・・・というときはと思っていたら、最近女子大の組合誌である『アノン』で、「暮」という店を知った。西荻から女子大通りをぬらぬらとあるくと、花鳥風月という古本屋がある。その次の細い道を入ったところ。エスニック料理屋の向かいというか、まえにここでもふれた「のらぼうNORABO」のとなりである。のらぼうも、体に良さそうなものを食べられるが、この「暮」というお店も、ちょっと似た雰囲気のごはんやさんである。昼からやっている。カウンターとテーブル。なぜかグランドピアノがおいてある。カウンターにはお酒類もおいてあり、たぶん夜はごはんを食べながら、ちょっとお酒もというカンジなのだと思う。キングサーモン、銀だら、煮物、とろろなどの定食の他に、カレーなどもある。800−1000円くらい。煮物とお新香とみそ汁が付く。普通のお総菜というカンジだけれども、きいたふうなことをぬかせば、なんかホッとする雰囲気がある。個人的には、西京焼きなどをこの値段で食べられることと、ごはんの炊き加減がけっこうツボなので逝っている。
 今のところは目立たないところにあるので、空いている。しかし、このとおりも住宅街のなかに、のらぼうやこの店や、エスニック料理屋や、ちょっとしたバーなどが点在しているし、ちょっとかわいらしい店構えのこぢんまりしたお店が各所にある西荻界隈は、なかなか語りつくせないくらい奥が深いものがあるように思う。勤め始めて10年程度の人間が偉そうに語ると怒られそうだ。まあ新しい店を組合誌で知ったということで。よるにいってみようとも思うのだが、お酒を飲まないし、今のところ見送っている。一度小規模のゼミコンででも使ってみようかと思う。