菊次郎とさき:続編

 まさかと思ったら、「菊次郎とさき」の続編が作られちゃった。最初見たときはなにもかも不自然に見えた。あまりに「たけしくん、ハイ」のインパクトが強かったからだ。NHKのほうはガキはたけしそっくりだし、林隆三は、元漆職人だったペンキ屋のブルースで菊次郎の役作りしているし、洲崎で育った木の実ナナはコア下町な雰囲気をたたえるし、そして何より千石規子の怪奇な演技は、ドクターコトーどころのさわぎではなく、菊次郎が暴れまくると憑依したイタコのように義太夫ぎゃあぎゃあ独演はじめるさまは、情けねぇし、しょうがねぇし、口は悪いし、めちゃくちゃながら、そこに滲むクールな人情と知性が圧倒的であり、加藤シヅエなんかまでがテレビで「あそこには戦後の日本のすべてがある」と絶賛していたと記憶している。そんな作品世界を、たけちゃんが絵本『たけしくん、ハイ』とは若干違う、『菊次郎とさき』を原作としてスペシャルをつくったとき、見るには見たがあまり期待していなかった。でも、ロッカーズ陣内のパンクな役作りと、井筒和幸監督もパンツなんチャラと絶賛していた室井滋は、独自の作品世界をつくりあげて魅せ、めずらしく録画までしてみた記憶がある。バンツマの無法松に日本映画は尽きるとまで言い切るうちのバカおやぢは、酒乱の兄がいたためかなんかわからないけど、NHKの作品世界は嫌っていた。しかし、こっちはパンクなデフォルメがきいているので楽しみに見ていたし、今回も期待しているようである。
 わたしは、祖母うし役草笛光子の演技に注目している。やっぱり、千石がすげすぎて、出てきただけで笑っちゃうくらいでありながら、瞬時に人情モードに転じ、深い人間観察をちらりとさせる凄みは、笑うしかないカンジで、さすがずびずば左卜全なんかとも競演しただけのことはあるわいって感じですが、最近ではさんま御殿での怪気炎が記憶に新しいものがあります。さんまちゃんまでが食われてしまったの巻、なのでございますね。それと対抗して役作りをしてきた草笛は、パンクにするんじゃなく、しっとりと落ち着いたカンジに徹していたのが印象的。それが、デビッド・バーンの「サイコキラー」みたいになってないか、注意深く見てみたいと思う。

〜『踊る!千石御殿!!』スタート!?〜

御殿史上、最年長出演記録を持つスーパーおばあちゃん千石規子。今回は、余りにさんまさんのトークに割って入り過ぎた為、『さんま御殿』が『千石御殿』となり、さんまさんもタジタジ・・・。さんまさんから「千石さんと目を合わすな!」という命令がゲストに出され、低レベルな(?)司会者争いが笑えました・・・。

http://www.ntv.co.jp/goten/coments/173.html

 今回は、次男がマサル似であるということや、浅草時代までやるみたいなこともあり、かなり期待できるものの、午前中とってだしの番組宣伝みたら、いくつかの見所がかなりわかりやすく図式化されて提示されていて、見やすくはある。こういうネタは他にもいくらでもあるだろう。地方都市ものとしては、テツヤものが有名だが、ほかはないかなぁと思っていたら、地方とはいえないけど、大阪のじゃりん子チエはどうなんだろうと思った。しかし、アレは猫が出てくるからね。どうしようもないかしら。っつーか、そんなことしなくても十分吉本でたりるものなのか。むずかしいものがあるだろうけど、ドラマで見てみたい気がしないことはないのである。たけしが、くそばかばかしいことに世間的に成功したからこそなりたつドラマかどうかということは、けっこう興味があるところである。まあしかし、さかしらになにかをいわずとも、沢村貞子とか、いろんな人々がNHKで戦後ものを作品化してきた。青島の塞翁が馬とかはどうだったのかとか、永六輔とか、小沢昭一とか、いかにもという人じゃなく描くものが見てみたいきがする。そんなことを言うのは、ばかげた事でドラマにした以上、ひとつの情感として消費されるのもまたよしとか言わなくちゃいけねぇのかしらね。