滝沢ブルース

 滝沢オフへのid:clinamenさんのコメント。「滝沢はブルースである」。「滝沢はブルースだ!」という岡本太郎シャウト仕様や、「滝沢はブルースであります!」という杉本清実況仕様よりは、落ちついたたとえばむかし芥川隆行、今だったらそうだなぁ森本レオとか、あるいは夏目雅子元夫作家伊集院静なんかでもイイと思うけど、しっとり落ちついた大人なナレーションで「滝沢はブルースである」と言うのが似つかわしく思われる。新宿のアングラ文化ともまた峻別される空間は、ホテルオークラとかのロビーなどを思い出させる。へんなたとえかもしれないけど、長く使い込んだラックスの木目仕様のオーディオみたいなカンジというか。とまあ、精神的には骨の髄まで田舎者の私にとってみれば、そんな知ったかぶりをしてみたくなるお店が、滝沢である。
 ここでめくるめく、アダルトなペダントリーで華麗に、しかし聡明に舞ってみせれば、今のような私であるはずもなく、あいかわらず、くだらねぇことしか浮かばないのである。ブルースといっても、ディープサウスミシシッピ、ルートなんチャラ、シカゴブルースストリート、奇妙な果実@ビリー・ホリデイ、マイダスト・ブルーム@エルモア・ジェームスとかゆうんじゃなく、あれだね、天地茂「昭和ブルース」と可能な限りのとぼしい知識を動員して知ったかぶりここうかと思いつつも、やっぱ滝沢という空間にはバロックモーツアルトのほうが似合うような気もする。しかし、それでも客層はギョーカイな香りこおばしいカンジがして、文化的梁山泊コミケみたいになっているように思われた。
 くだらねぇギャグはどこへ逝ったのだと思われるムキもあると思う。それは昭和ブルースの替え歌なのである。オフ会で皆様と歓談している時に思いつき、帰ったら書こうかと思っていたが、遠慮していた。しかしまあ、書いてもイイかなぁと思い書く。昭和ブルースもとうた。山上路夫作詞・佐藤勝作曲。苦み走った天地茂の演技とともに記憶に刻みつけられている。

乱れた時が 悪いのか
それとも店が 悪いのか
何もしないで 続けてゆくなら
それはたやすい ことだけど


お店に集う お客さん
あなたの愛に つつまれて
何も知らずにに 続けていくなら
それはやさしい ことだけど


なんにもせずに 続けてく
俺にはそれが つらいのさ
とめてくれるな 常連様よ
涙ながれて 来るけれど


見えない鎖が 重いけど
行かなきゃならぬ 俺なのさ
だれも探しに 行かないものを
おれは求めて ひとり行く

 寒いぞと冷笑される人も多いと思います。なんじゃこりゃああなどとおっしゃるムキも多いと思います。ここまでのことはなく、いまだに洋書や専門書、ノート、レジュメ、企画書その他を広げる梁山泊な雰囲気を残していることは間違いないわけです。しかし、関心空間の下記記事などを見ると、そうとばかりも言えないように思いますし、また入店の際ちょっとみまわしてみても、まあ下のようなカンジがしないこともないなぁと思われるふしもありました。

友人からの情報によると滝沢の社長が、最近は従業員も現代っ子が増えていてお客様に滝沢の質の高いサービスを提供するのが不可能だと判断した為だということです。また、お客さんも宗教やAVの勧誘が多くなり、お店の雰囲気を保てなくなってきた為だとか。
http://www.kanshin.com/?mode=keyword&id=657987

 何度も言いますが、私はそんなに滝沢を使っていたというわけじゃないし、むしろ人に会いに行ったという意味が強いのです。実際私にとっての梁山泊な場というと、たとえば地下にはゼミ用のシートまであった国立のロージナ。注文とりが鬼熟達したウエイトレスさんのいる国立の白十字。カレーの美味い国立のガラス玉遊技。岡山に行ってからは、ロイヤルホテルロビー、東急ホテルロビー、旭川ぞいいちのつぼ。東京に帰ってからは、吉祥寺のカフェラミル、アンミラ。池袋のメトロポリタンホテルのロビー。新宿の京王プラザホテルロビー。広尾の都立図書館。などなど。そんな話もしたら、適度な壁などがあり、本を広げても、まわりが気にならないなどの指摘があり、なるほどと思いました。ググるといろんなオフ会などがあるようです。店がいろいろあるので、思いは様々なようです。一つに集中しないでしょう。などと書いているウチにびっくりしたのは、クドカンであって、吉祥寺のファミレスで脚本とか書いているらしく、それはまたそれでありなんだろうなと思ったりもします。