蒜山のオモニと韓国料理木の実

 その桃クンてれかの「製作スタッフ」が家族連れで、蒜山に飯を食いにいくというのが、本日の企画であった。一人は皇太子に、もう一人は弟ぎみに似ているということで、ロイヤルファミリーと呼ばれている人たち。しかし、一方は青年法律家協会のトップになるなど、なかなかの筋者であったりする。岡山を出るときは、薄曇であったが、むこうでは雪がちらついていた。お目当ては 岡山時代よく行った韓国料理木の実に行くためである。前にも書いたが、岡大近くにあった木の実が、蒜山に移ったのである。岡大関係者などで大繁盛であった。終身雇用論のN氏、考古学者のN氏、アダムスミス研究のN氏、経済学部長のM氏、ナウシカいなば氏はじめ、多くの人がここで酒を飲んでいた。
 おっちゃんとおばちゃんの夫婦で、最初はきたねぇ小さい店をしていた。流行らないとんかつやを引継いだかたち。おばちゃんは、その前にJRの電車区の近くで飯屋をやり 若い組合員とかにうまい飯を食わしていた。ご飯おかわり自由だし、おかずのサービスもあるし、遅くなるとごろごろ仮眠をとらしたりしていたらしい。 その後出したのが岡大近くでもお店。面倒見のいい二人がやって、ここが 大繁盛。大学生の面倒もよく見てくれ、大学祭に差し入れにまわったり、気風のいい人たちだった。そして、店はあっという間に大きくなった。しかし、突然 店を人に譲り渡す形で蒜山に移住し、そこに店を開いた。 岡大関係者が車を飛ばして食いに行く。あるいは 蒜山で合宿をやったゼミがコンパでおとずれたりしているようだ。ただまあ、冬などのこともあり、なかなか前みたいにもうかってはいないんじゃないかと思う。だって昔は冬などは席がないくらい超満員だったしね。高級店的なものというよりは家庭料理。軍人さん が飯ごうで作った兵隊鍋などもメニューにあった。これも前に書いたと思う。寄せ鍋にラーメンぶち込んだもの。今でも たぶん予約すればできると思う。このほかにも、サムゲタン、石焼鍋など本格的なものが食える。三日前に予約する必要がある巨大黄金鍋のサムゲタンはすごいものがある。六人くらいで行って、これだけで腹いっぱい。鳥がでかいし、具もいい。香りもよく、骨もとろけるように、口の中でくずれる。ただし、焼肉はない。ビビンバやちぢみはある。石鍋でカルビや大腸を食って、そのあと飯を叩き込んで、焼き飯みたいにして食う。マジうまい。今日もうまかった。
 オモニはオモニというくらいで韓国人だが、おやぢは旧帝国陸軍だったり する。夫婦喧嘩は侵略軍と抗日戦線という舌戦でしゃれにならない。マジやばすぎ。二人とも変わらず若い。おとうさんは、もうかぞえで80歳だが、髪はまっくるで、つやつやとしている。「もうだめです。昔は年毎におとろえを感じた。で、去年くらいからは月毎になり、最近は日毎におとろえを感じます」などと弱音を吐くが、滋養のある漢方を飲み、山海の珍味を食べ、もうカチンコチンエレクトなテカリがでている。人魚の肉でも喰ってんじゃねぇかっていう感じだった。わら。
 店を出たら大雪になった。蒜山観光は流れた。写真は蒜山の木の実。看板はおかあさんの似顔絵である。