世田谷ユリの木緑道公園

 朝曇りで、雨でも降るかと思ったら、だんだん晴れてきて、青葉学園短大の講義が終わる頃には、快晴でしたー。で、明日とある合評会で報告ということもあるし、論文も書きかけだし、ここはひとつ歩きましょうと、上町の駅には向かわず、世田谷城趾方面へ。しゃれた店も多いし、疲れたらこーしーでも飲みながら、くつろごうかと思いまして、てくてくてくてく。って、そーいやガキの頃おやぢのとっておきのギャグが、「今日はテクシーだぞ」って歩くのがあった、これでアテクシも弟もおかんもけっこうウケていたのだから、なんとつつましいささやかな幸福がそこにはあったのだろうか。そんなことを考えつつ、報告や論文のことをアタマで転がす。転がしているうちにテキトーにまとまるときはまとまる。そこには野太い論理がでてくるはずもない。
 今日はMDウォークマンがあるから、チャキッとスイッチを入れて、BGMつきの散歩である。こういうときに限って、お気に入りのキルシェだとかはもっていない。Detroit7の1st『VERTIGO』の「おわりははじまり」、ザ・バックホーンの鉄路に耳をつけるやつと、「答えはいらないそんなのウソだろ」。ほれからZAZENBOYSに、なぜかビリーアイドルのレベリイェル(邦題名は反逆のアイドルだっけ??)なんか。Detroit7の池袋町外れジャストフィットの気持ナスティなレフティのねえちゃんが爆音ギターぶっぱたいて「光より速くすすむんだ」とシャウトするのを聴きながら、てくてく豪徳寺方面に。そこからいつもなら、線路沿いに下高井戸方面に向かうのを、今日は前から目をつけていた、ユリの木通りをどこまでも歩いてみようと思い立つ。ここは道の真ん中が美しく舗装された緑道公園になっている。
 岡山でいうと西川緑道公園みたいなものだけど、あちらのほうが川が流れていて、そこに工夫を凝らした散歩道がしつらえてある分美しい。こちらはまわりは住宅街で、ぽつんとパティシエなお店があったりもする。西川の両側が、歓楽街で夜ともなるとパイラーのおっちゃんたちが、立っているのと大違い。バブルの頃は、公園の茂みのなかに客引きのあんちゃんが隠れていて、通行人引っ張っていたわな。タクシー通せんぼしたり、めちゃくちゃで、実は私ももみ合いになり数発殴られたことがある。へなちょこなパンチを顔面で受けて笑ってやったら、引き下がったよ。可哀想だから通報しなかったけど。監視カメラがついて、そんなこともなくなったはず。そんなことを考えつつも、やはりアタマをめぐるのは報告のアイディアで、まあだいたいの方針は決まってきた。あとは書き下ろすだけと思って、ふと気づくと白チャリで巡査くんが併走しているのに気づく。あちゃー、まあ黒のイノキーパーカー「バカになれ!」バージョンのおっさんが考え事は、やっぱやばいのだろうと思い、心を込めて「犯罪は見のがさないという君。(・∀・)イイ!!たしかに、目の付け所は悪くないかもしれないけど、ちょっとずれているよ」という目配せをしたら、走り去った。まあ緑道沿いにリュックにスニーカーだから、ウォーカーだと思ったのかもしれない。
 しかし、この緑道なかなかとぎれない。次第に舗装が安普請になり、ついにはなくなり、その辺の公園みたくなってくる。さらに幅は狭まり、しかしずっと先まであるカンジ。こういう道はどこまでも逝くのが私の主義である。が、前に玉川上水ラバーズレーンを逝くところまで逝こうと思い、小平から歩き始め、結局国立北あたりでやめたくらいだから、偉そうなことは言えない。また迷ったかと思ったけど、ともかくいけるところまでいってから考えようと思った。だいたい世田谷はけっこう地図があるし。団地の近くで、道は広くなり、公園みたいになっていた。ベンチで休もうと思ったら、親子連れがいて、きっと睨まれ、子どもをかばうようにした。「おかあさん、それはちゃいまっせ」と思いつつ、昨今はこれくらいの方がいいのかと思った。子どもの教育も重要だろう。私たちの頃はヨシノブちゃん事件というのがあり、知らない人とは話さない、もらわない、ついていかないということを徹底し、反射的に逃げるように教育された。
 こーしーを飲もうにも、まわりはだんだんコア世田谷な雰囲気ではなく、私鉄沿線郊外住宅地っぽくなってきた。ポツンとあったとしても、芳醇なこーシーというよりは、おかわり自由ドリンクバーなファミレスってカンジ。あーあとおもっていると、ようやく緑道公園がとぎれた。そこで、看板などをみると、上北沢とある。桜上水との境まで来たことを、ポリボックスの地図で知る。そこからは、水道道路を右折して、桜上水駅へ。最後に坂があって、最後の難所みたいになっていたのは、笑った。行程約一時間チョイ。日課の2000メートル自由形ロング一本45分〜55分などよりは、はるかにキツイ。吉祥寺まで帰り、タカノで気張って600円のメロンジュースを飲んだ。心地よい疲労感のなか、神戸屋のパンを食いながら、ブログ。さて報告をつくると思いつつ、卒論の相談に来たらどないしようと思っている現在なのでございます。