大森望、豊崎由美『文学賞メッタ斬り!』

 おーでてるなぁとずいぶん前に思ってた本が、とある本屋で平積みにされていて、なんとなく認知枠組みのなかに入ってきた。ホワイと思ったが、表紙が東映やくざ映画風氏んでもらいますタッチであって、波田陽区が「めった斬りッテ言うじゃなーい。。。少し早く出し過ぎたようで拙者が表紙に登場してませんから。。。残念!!」といっているような気もしまして、速攻買った次第です。文学賞と審査員をボコボコにし、最後に文学賞ミシュランというか、福田和也の本みたく点数表がついている。なかみはというと、実に言ッテいることは明解である。基本的には綿矢りさ激萌え応援隊てなカンジ。綿矢に始まり、綿矢に終わる。でもって嫌いな椰子。審査員のてるちゃん=宮本輝氏=「紋切り悶絶価値観と美学の遺物、嫌いな作品は通さない、ぶち切れて暴言吐きまくりのぢぢい。実に本読めてねぇ人」。しんちゃん=石原慎太郎氏=「政治親ぢ」。高樹のぶ子=「若い女の子にシビアなおばはん。本読めてねぇ」。萌えな椰子。ソンケーしている椰子。福田和也浅田彰。山田・ぼんちゃん・詠実。島田雅彦
 なんかさ、この豊崎ッテ人の語り口に、イヤーなカンジがするの。ぽんちゃん、しんちゃん、てるちゃんとかゆってさ、妙に軽快で、ルサンチマン横溢している。でもって、どこかに何かを忘れてきたようなというか、妙なイヤさがたまりませんのです。立ち読みの段階では、ギョーカイを生き抜いてきた人にありがちな、なになにさんがさー、なになにちゃんがさーっつー、やたらなれなれしい事情通めかしたギョーカイ語りなのかなぁと思っていたんだけど、帰って読んでわかった。きっかけは次の一句。「年寄りもいてよし!」。なんだよ。豊崎のゆみちんって、ちゃねらーなんだわな。堂々と2チャンネルのスレッドにとか、書いているしね。要するに一種の近親憎悪的な、アレルギーっつーか。うぜーってことかもしれない。大森望さんのほうは、翻訳家だけど、文学賞の下読みなどをずーーーーっとやってきた、ゆみちん曰くの「下読み王」。ゆみちんに「われわれ」とゆわれて、「一緒にしないでくれ」といいつつ、けっこう好き嫌いは明解に共有しているカンジ。いずれにしても、読書案内として読むと、いろんな本のことがわかるし、とても(・∀・)イイ!!。
 まあしかし、選評の選評というものあっていいよね。銀行に勤める、とある昔の寮のともだちが「格付け会社の格付けをしてやりたい」といっていたのと同じ理屈。そりゃそうだよな。日本の企業なんか言われまくりだからね。同じように、大学人としては、偏差値の偏差値、大学ミシュランミシュランとか、つくって欲しい気はする。『大学ランキング』だとか、『大学図鑑』とか読んでいると、なかなかよく調べていると思うものの、いろいろと事実誤認は見つかる。間違いも多い。たとえば私の勤務校の40歳助教授賃金日本で一番高いという、『大学ランキング』の記述。これは間違い。大学によって平均賃金を上げているところが多いのに、うちのは最も高くなる可能性になっているみたい。普通はあり得ない。組合の闘争目標「目指せ公務員なみ賃金だ!」というギャグすらあったらしいし。とある都内の仏教系大学から移ってきたとある先生は年収が300万円減ったという噂もある。馬路かよってかんじだよね。
 それはともかくとして、メッタ斬り!!だけどさ、ザッと読みして笑うのは、ともかく一貫して「宮本輝萎え、綿矢りさ萌え」なんだな。いろいろ他にも書いてあるけど、そのネタが一番盛り上がるんだよね。モロ2ちゃんノリで。ポンちゃん島田雅彦福田和也浅田彰に萌えるのはよしとしても、やっぱ古井由吉だけは絶賛。気合いで悪くゆってみろよと言いたいところだが、やっぱ古井は逝ってよしとか言えねぇよなぁ。これはまたあとで書きたいと思います。誰か、「学芸賞メッタ斬り」とか書かないかなぁと思いつつ、まあたいして面白いものにはならないような気もしますた。どー考えても表紙は波田陽区だろうけどな。