ポルノの間?−−『キング・オブ・ポルノ』を久々に観る

 仕事も一段落して、のんびりするかなぁ、久しぶりにビデオでも観ましょうかと、えべっさんなのりで、ビデオ屋に行き、やっぱこーゆーときは、なるべくくだらない、なかみのないものを見なくちゃなどという決意において、低劣なホラーでもみようかとか思いつつも、気分じゃないし、893映画もなんかちがうということで、『キング・オブ・ポルノ』見ました。二年前に見て、投稿日: 2002/10/16(水) 01:33にカキコしたもの。ちょっと加筆しながら、貼っておきます。ッテ結局また推敲している粘着的なアテクシなのであります。
 時代はサイケデリック、ヘイトアシュベリーなシスコからブレイクしたアメリカンポルノの帝王ミッチェルブラザースを描いた実録ものでございます。バルバラシャンソンが似合ったりする禿げジルなカンジじゃなく、むしろ最近のサンタナ−−ウッドストックな昔はかっこよかったよねぇ、っつーか今もバンダナするとかっこいいけど−−みたいなカンジのゲーハーな兄弟がポルノの限界にのぞむちゅーんだけど、言ってみれば、第二のワーナーブラザースを目指して、過激なポルノをとりまくり、でもって自分たちの劇場で上映しまくり、警察に逮捕されまくり、マフィアとかとももめまくり、女房とももめまくりなんかしながら、それなりの成功をしつつも、崩壊してゆく兄弟のきずなや人格みたいなものを、淡々とえがいてるんですけど、ええええ、これって『ブロウ』のパクリじゃないのっつーくらい類似点がありました。ジョニー・デップのやつね。虎ノ門で、井筒が泣いたやつ。(・∀・)イイ!!映画なら泣くンやみたいなカンジで。しかし、最近雑誌で読んだけど、ジョニー・デップってやっぱり相当テンパった椰子だな。それはともかくまあこれは、サイケデリックな野郎どもが、みんな似たようなはじけ方、走り方、潰れ方をしたちゅーことでしょうかね。
 とりあえず壊れて行くのは弟で、でもって兄が弟にオトシマエつけて、一応おちがつくみたいなカンジだけど、なんじゃこりゃつーくらいあんまし説得力がない。しかし、実話だから、それも不条理みたいなことになるんでしょうかぁ〜〜??あったく、B級映画なのかぁこれは???しょうがねぇなぁ・・・なんて、文句言いたくなったんだけど、ゲーハー兄弟が実は、チャーリーシーンと、エミリオエステバスであることに最初に気づいたのは、ビデオを今返しに行って、そしてジャケツを見てのことでスタ。エステバスはともかくチャーリーシーンはわかんないんじゃないのかなぁ。言われりゃモロわかるし、2回目見るとかなりわかるけどね。ナッティー・プロフェッサーよりはわかりやすいよ。
 まあ誰が出ているにしても、アメリカ人好みつーか、ヒューマンでハートフルなものが突き刺さってチャンチャンみたいな趣向は、はっきり言ってちょっと萎えました。しかし、それはともかく、元モデルのねぇちゃんと黒人男優が交わってしまうやつとか、「ソドムとゴモラ」をコンセプトに砂漠でエジプト人仕様の男女がソドミーにA感覚なファックしちゃうやつとか、当時の「正しいアメリカ人」だと卒倒するような映画を作り、ポルノライブっていうストリップ劇場とピンサロがまぜまぜになったような劇場をつくったりとか、限界に突き進む兄弟の暴走はよく描けていると思います。
 だけどなんつっても、この映画の圧巻は、限界への暴走がものすごいドライブ感で描かれていることでしょう。キングクリムゾンの「21世紀のスキゾイドマン(いちお邦訳自粛)」轟音でカースデでかけながら、チキンレースな日々みたいなぶっ飛び。兄弟は完璧てんぱっちゃってるのよね。ともかく、麻薬ジャンキーッツー言葉がゲラゲラっつーくらいなものすげぇテンパりかたなんだよな。最初はちまちまタバコみたいな麻薬吸ってるんだけど、途中からもう粉を鼻から吸いまくりなの。ものすげぇ量の粉−−ニュースとかで報道される一回のタイーホ分が一回の使用分ッみたいな、超うそくせえけど気合いでリアルを魅せちゃうんだなぁ−−それを机の上とかに無造作にぶちまけて、それで二人がぎゅ〜〜〜んと吸い込むんだよね。まあ言ってみれば、ものすごくたまったちりをパワフルな掃除機でぎゅ〜〜んと吸い込むようなカンジ。そして、ドラヤキン@のび太も、アキラもぶっ飛ぶくらいにドライブしちゃうんだよね。しかも人間掃除機ツインビームですからね。狂ったアフリカ象のようにふたりがもんどり打って、パォ〜〜ってかじで、粉を交互に吸いまくるシーンは、激トラウマな残像をのこしてくれちゃいます。
 ポルノをげーじつに高めたりしないし、性のなんたるやにうんちくを傾けることもしない。弟の方はやくのやりすぎで、インポクンになっちゃったり、完璧逝ってよし状態。で、うんこみたいなもののまんまテンパって逝く道突き進むところは、制作姿勢としてけっこう共感できる部分があるものの、アメリカのポルノはなんか、マッスルマシーンの激突みたいで、萎えます。さんまが「おぅーいぇい〜、シュ〜シュ〜(ってだーすべーだーかっちゅーの)」とかゆって、よく真似しているカンジのやつね。あの盛り上がりは、やっぱり国別のオノマトペと同じように、国別に違うのかしらね。バウバウとワンワンのちがいみたいに。
 米国ものは、ともかくやはり「間」もへったくれもない。それに比べると、日本物はもちろん、韓国の「イエローヘアー」なんかも、余韻があると思う。禅の心や、無常の思想なんかは絶対ないと思うけど。純愛ものばかりが注目される韓流でありますが、あれはすげかったわなぁ。馬路ポルノだと思うんだけど、女優が賞とかとってるでしょ。マッキッキの髪の毛が鮮烈ですが、やっぱラストシーンがすべてではないでしょうか。まったくスジもへったくれもないけど、あれはすごいと思う。実家近くのコリアンタウンでビデオ買いましたんです。もちろん字幕とかついてないけど、この映画の場合なくてもわかるし、やばいくらい安かった。やばいもんなんすかね??