牛丼を食った頃

 慶応大学への道すがら、今日発売になったすき家の牛丼を食べた。今では生活にある程度余裕があるから、きんぴらのせのトン汁付きにした。ついでに温玉もつけた。600円以上もする豪華ラインナップを喰いながら、それでもしょうがを山盛りにしてしまう自分に苦笑した。けっこう美味かった。おーすとらりあ産でも。アテクシは、中島みゆきさんみたいに、吉野家で朝っぱらからビール飲んだりはしなかったし、まして「狼になりたい」とシャウトすることもなかったけど、並ひとつに味噌汁もつけられなかった頃に、お茶をがぶ飲みし、しょうがを山盛りにして食べて空腹を癒した。店の人は、不思議に怒らなかった。黙ってしょうがをかえてくれる人もいた。まったく根拠のない話だけど、つゆだくとかねぎだくというのは、このしょうが山盛りと同じ発想、つまりは並をいかにたっぷり多めにアレンジするかという発想から生まれたのではないかと思っている。
 学生時代に貧しかったころ、メシがろくに食えず、いろいろ工夫した覚えがある。寮にいたので、夜はとりおきの夕食が9時になるとただで配布された。それ以上はとりおかないというルールだったからだ。あと、朝のうどんが50円だったから、これを二杯食えばかなりおなかが一杯になる。一応一日100円で暮らせる計算だ。しかし当時は、寮の食事は昼が130円、夜が150円くらいだったから、たいして安くない。そのくらいなら、昼を食べた方がいいくらいなわけである。不思議にご飯のおかわりはしなかった。大盛りもしなかった。っていうか、一ヶ月まとめ買いする食券を買えるやつは、規則正しい生活をする、金持ちだったと思う。だいたい夕方のゼミに寝坊するなんてかんじだったからね。っつーか、夕方おきて、でもってすぐに飲みに行くとか・・・。朝から飲むのとかわらないっつーこと。しかし、飲む金はあったわけね。まあ先輩がけっこうおごってくれたにしても、多少は払ったはずだし。
 昔ゼミでいっしょだった鬼丸正明氏は、ずーーーっと即席ラーメンを食べて暮らし、栄養失調になりそうになったことがあるらしい。だけど、チキンラーメンでたての頃に、そればっかり食っているやつけっこういたらしいけどね。まあ気合で言ったのかな。大体たいして安くないもん。即席ラーメン。私は、札幌一番ゴマ味ラーメンというのが、すごく好きで、これが岡山では容易に手に入ったんだよね。隣のマーケットで常備していた。うちの近くのマーケットではあまり見かけない。即席ラーメンに大量のゆでもやし。これはひとつの定番でしょう。
 横浜の実家の近くにあったドカチン食堂では、醤油ライス、ソースライス、マヨネーズライス、醤油バターライスなんてメニューがあった。岡大では、うどん粉を水で溶いてキャベツと卵を入れ、醤油、ソース、マヨネーズというローテーションで食っていたのがいる。マヨネーズは少し贅沢なのだそうだ。まあそんなことを言えば、学食でご飯さえ買えば、醤油ライス、ソースライス、ドレッシングライスなんかはすぐできるよね。生卵と味噌汁究極はやっぱり、残飯捨てるところで弁当箱を持って、捨てる飯とかいろいろもらって喰うということだけど、実際にやった椰子は一人しか見たことがない。
 で、牛丼だけど、私が岡山にいる頃から、だんだん増殖して、店の種類がどんどん増えた。吉野家は、乾燥肉かなんかつかって味が落ち一回つぶれて、そこから現場経験の経営者などが出てきて、破竹の勢いになったときいた。なんか、昔を思い出すのであまり食べに行かない。ただ、短大に行く途中の明大前に、なか卯があって、ここにはよく行く。ただし食べるのは親子丼である。しかし、あんちゃんやねぇちゃんたちが、ウザそうに牛丼喰っているのを見ると、こいつら大丈夫かなぁと思う。腹へってないカンジなんだよね。っつーか、フードファイターなめしやって減ってないかぁ???