バカ番組と国際交流

 上で、バカ番組韓国バージョンのこと書いたけど、なんかそういう部分から文化を理解してみたいなぁというところはある。韓国のポピュラー文化というと、テレビや映画や音楽ばかりが目につくが、お笑い文化なんかどうなってるんだろう。ヨンサマカツラがあるくらいなら、ヨンサマ入れ歯とかあるんかなぁとか、物真似でヨンサマやる椰子とかいるのかなぁとか、とても関心がある。北朝鮮から美女軍団がやってきたとき、韓国のヲタが船のまわりにあつまって、愛しているよとか叫んで、萌えまくっていたとか、映画『黒水仙』のラスト、ぢぢいのためにためた情念が炸裂するせりふ−−「その人に手を出すな」だったっけ−−が流行語になったとか、マジレスっぽくはあるものの、アテクシから見るとかなりギャグいんだけどね。『猟奇的な彼女』のポップな色彩感覚な映像だとか、『イエローヘアー』の妖しくあぶないラストシーンだとかみるかぎりは、ギャグな運動が横溢しているように思うし。まあそれで、いろいろ聞いては見るけど、見えてくるのは上下関係な筋道だけで、力量不足を痛感するばかりです。
 そんなことを言うのも、バカ番組ということば自体が、フィンランドからの留学生@スウェーデン系から聞いたことばなんですね。留学生といっても、むこうで研究職に就いていた人で、日本社会について学びに一橋大学にきたんですね。大学院生だった私は留学生のチューターになったわけです。居合道合気道をする人で、長身の古武士というようなカンジで、最初は『ラストサムライ』のトム・クルーズみたいに求道的に学問にうちこむ人に見えた。私は、今より何倍もギャグな人柄だったし、バカなギャグばっかかましていた。「まあさ、日本語できるようになりたかったら、まず恋人つくんなよ。そうすりゃあイチコロだぜ」とかゆっていた。このおっさんは、ストイックにうなずいた。ところが、一度飲ませたら、飲むは飲むはへべれけで、ワールドダウンタウンのジル状態になっちゃった。「日本のバカ番組、エレクト、いやエクセレント!!」、「日本のバカ文化、ファービラス!」。はっきり言って笑いましたよ。あまりの変貌に。それ以上に、「バカ番組」と表現したセンス、−−っつーか、日本語たいしてできないがゆえかもしんないけどね−−まあともかく言語感覚にドキッとした。でもって、「助言もあったので、彼女を大阪から呼びました」とかゆってる。日本語を勉強した大阪の外国語大学のときの知り合いらしい。このあたりはまだよかったんだけど、盃を重ねるごとに暴走。日本のおっさんみたいに、愚痴りだした。「離婚した元妻が、合気道していて今日本にいる。それを彼女が怒ってね、困るよ」。ンなこと言われてもこっちも困るんだけどさ。「日本の居酒屋サイコー。もてまくりね!!」なんつって、とんでもねぇおっさんだった。「・・・まくり」というのも、このおっさんから学んだ言い回しだな。考えてみると。あんまり勉強しなかったけど、日本的な居酒屋で飲んだり、お茶の先生を紹介したり、横浜に招待して神棚とか仏壇とか職人の家屋をみせて、日本の「ショクニン」について教えたりいろいろした。日本のマンガとか教えたら夢中になっていた。帰国する頃は、Drスランプのヲタになっていたなぁ。
 そんなわけで、ギャグの国際比較なんかした本とか、ずっと探しているけど、妙に思想っぽいのが多いんだよねぇ。傾向ギャグね。たとえば、トリビアでも紹介されたハゲフサ理論。これは20年近く前に、片山まさゆきが書いた『ウォッカタイム』という、ソビエト社会主義体制をネタにした漫画に出ていたんだけど、スターリンギャグなんか数え切れないでしょう。グルジア人のスターリンは、額がせまく、知的とはお世辞にも言えないものだった。だから、額の広い知識人顔の椰子を粛正しまくった。挙げ句の果てには鬼ぞりを入れようとして止められただとか。こんなのは面白いけど、むしろ「ここヘン」なんかのギャグ身体、っつーか身体化されたギャグ、ギャグのハビトゥスなんかのほうが興味ある。でも、見て面白くても、本人オオ馬路なこともあり、なんともにんとも難しい。まあ、そんな仕事は検索すればうなるほどあるだろうと思う。けど、本業で調べ上げるのはめんどうだ。そんな主題は、「推薦テーマ一覧」みたいにして、卒論とかでやらせているけど、さすがにこれはやる奴は卒論ですらいませんね。
 やっと『ミスティックリバー』借りたけど、これから見るのはつらいっすねぇ。