三浦展『大人のための東京散歩』

 三浦展氏から、本をいただいた。いつもありがとうございます。
 三浦展氏は、学生さんや社会人の方々と連れだって、杉並を散歩されていることがあり、途中うちの大学に立ち寄られたので、大学内を案内したことがある。吉祥寺、西荻荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺などを、三浦氏がカメラ片手に散歩され、いろいろなものを観察されてこられたことは、周知のことである。散歩はもちろん杉並に限られたことではなく、東京、さらには全国のいろいろな町を回られているはずだ。成果は、いろいろな書物に発表されている。
 類書はいろいろあるわけだが、三浦展氏の場合作品性がはっきりしている点がまったく異なる。そして、文章や、一枚一枚の写真を見ていると、――ちょっとワイドショーみたいな言い方になるけど、w――「三浦の眼」みたいなものを学ぶことができて、でもって、「自分の眼」で見て、町を消費する方法を体得できるようになっている。
 とあるブログに紹介文が載っていたので、引用しておく。なんとなく、木村聡っぽくみえるが、作意なのかもしれない。

カラー写真付きで読みやすい本、東京近郊にお住まいで散歩好きな方、メジャーな所には大抵顔を出しているという方にはおすすめ。カラー地図と写真が紹介される街は次のとおり。


本所・深川・砂町
夕焼けが似合う街、砂町銀座誕生、砂町にもある同潤会アパート、洲崎の花街、門仲で一杯、深川の現代美術館


神楽坂
最後はここで飲みたい街、細い路地が入り組む街に陰影が、若尾文子映画監督が住むアパート


阿佐ヶ谷
山の手住宅と公団住宅が混在する街、上品な老婦人がいる街、井伏鱒二フォークソングが似合う街、古いお屋敷と阿佐ヶ谷団地


目白
文化村とトキワ荘とモンパルナスの灯、江戸や明治の伝統が残る街、将軍が鷹狩をしていた場所、モダンな美容室、目白文化村


赤羽
庶民のための田園都市、王子と渋沢栄一、曲がりくねった小道こそが散歩の道、テニスコートのあった同潤会住宅地、資生堂チェーンストア、温泉地のような銭湯


本郷・小石川・白山・根津
島だった湯島、水道橋の旅館街、一葉の井戸、太陽のない街、白山の三業地、角栄と白山、時間ですよの銭湯があった街、坂と川がある街、下宿の街、銀河鉄道999と本郷下宿


高円寺
昭和が積み重なる街、古着屋の街、フォークソングの舞台、神田川と桃園川、お犬様とサンプラザ、お妾さんの街


西荻窪
古さを楽しむ街、アンティーク街、善福寺の同潤会、グルメはたまらない


下流社会」「ファスト風土化する日本」などの著者が書くお散歩ガイド、ちょっとした裏道が好きなマニアにはオススメのガイド。
http://blog.goo.ne.jp/tetsu814-august/e/5dadb210b7775dd0e753e2623f9412e2

 新書の雑誌化の寵児として三浦展を位置づけるような文化論もあるわけだが、三浦氏は『アクロス』という梁山泊みたいな雑誌をやっていて、いろんな先鞭をつけてきた実績を持っている。今回の出版にあたってもガイドブック仕立てを変えていないのは、なかなか玄妙である。というか、まだアマゾンに出てないね。