修理のソニーとゴキブリ110番

 実家のテレビがぶっ壊れた。さすがに地デジかと思ったが、ウォークマン開発の技術者が日本の夜明けに出ているとき、「あらゆる部品が保存してある」と豪語してあるのを思い出した。ライバル社の社員は、「すぐ壊れ、修理で儲けるソニーさん」などと五七五みたいにゆっていたが、私が岡山赴任の時購入したトリニトロンは、25年近くたつのに買ったときと同じようにうつっている。そういうこともあり、両親の信頼は絶大だ。私も、なおす体制ができているのはすごいことだろうと思った。
 で、調べたら、受付の電話は連休なのに通じた。で、翌日(振り替え休日の6日)来てくれるという。お預かりかと思ったら、その場ですぐに直してくれた。配線その他も見てくれ、以前よりうつりはよくなった。直してだましだまし使う。これは一つの美徳だと思うが、手っ取り早く豊かさを生むわけではない。このへんをひっくり返すシステムがどう構築できるかということを、ふたたび考えたが、ふたたびやるべき学問を間違ったかと吐き気がしてきた。
 親が、修理の職人さんにお茶菓子とお茶を出していたのが、なんとも懐かしい感じがした。うちのじいさんは、職人で、仕事をすると、お茶とお茶菓子、お昼時ならおそばの一杯もふるまうみたいなことが、職人の習慣だった。親は、おそばくらいとればいいんですがなどと、しきりに言っていた。親戚筋でも、大工や左官だった家の人は、そういうときにお茶や食事をふるまうなんてことが、よく話題になっている。これは今風の習慣ではないだろう。ばあさんが危篤で救急車を呼んだときに、親が救急隊員にチップを包んで怒られていた。付け届けは今や悪徳だろうが、こういう話はちょっとホッとする部分がある。
居丈高に権利主張をしたり、わけわからない非常識がまかり通っているからだ。

 害虫駆除の依頼、恋愛相談……。警察に舞い込む様々な電話に、首をかしげたくなるような内容が目立つようになった。


 地域住民と向き合う警察にとって、モラルに欠ける要求でも無視するのは困難。非常識な通報に追われることで、警察力の低下を招くのではないかと危惧(きぐ)する声も出ている。


 「ゴキブリが家の中に出てきて、気持ちが悪い」


 昨年夏、大阪府内の警察署に、若い男性から電話がかかってきた。対応した署員は「自分で駆除できるはず」と考え、この依頼を1度は断った。


 しばらくして再び同じ男性から「本当に困っている。来てくれ」。最寄りの交番にいた50歳代の男性警部補が男性宅を訪ねると、おびえた目つきでゴキブリを見つめる若いカップルが待っていた。警部補はゴキブリを駆除し、死骸(しがい)をビニール袋に入れて持ち帰った。


 この警察署の副署長は「市民が助けを求めてきた以上、むげに断ることはできないと判断したが、ゴキブリの処理は警察の本来の業務ではない」と語る。


 今年2月中旬、千葉県内の警察署に女性から「恋人に振られてしまった」と電話があった。女性は約20分間、相手の人柄や交際の経緯を話し続け、翌日から連日のように電話をしてくるようになった。夜の当直体制で人手が少ない時間帯にかかってくることも多かった。
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=20&id=479660

 笑えない部分もある。岡山時代家にスズメバチがいて、駆除できず、賃貸契約の仲介をしていた不動産屋さんに泣きついたことがある。息子さんの配偶者の人が駆けつけて、薬を噴霧し、はえたたきでフルボッコにして駆除してくださった。今だったらどうするだろう。あるいは、パニック障害の発作を起こしたときに、交番に相談に行ったことがある。近くの病院を紹介して貰った。まあ、地方都市は、今現在の東京よりはずいぶんと生きやすい街だったのかも知れない。人のイイお巡りさんが、住民の相談にのるというのは、昔はよくあったことだろう。今も、ときわ台の殉職されたお巡りさんのような人もいることにはいるわけだが。