時効警察 #2

 先週は風邪で末端神経ビンビンで時効警察の映像は実に五月蝿くみえてしまったわけで、今週はみようかどうか迷ったが、池脇千鶴が出るというのでみることにした。『リップスティック』のましろは何度見てもトラウマな役どころであったが、ボクにとって見所は団子鼻だけなのであったりする。はじまっていきなりふせえりが「ぽつねんとしてるんぢゃねぇよ!」と「ぽつねん」ネタかまして、ひとしきりのやりとり。意味ねぇやりとりはこれに限らず随所にある。うざいといえばうざいが、シュールというほどでもないにしても、ここまで多いと、隠しキャラとか、お約束とかいう観点から見逃せなくなるから不思議だ。トリックの生瀬みたいな役どころの奴がそこら中にいて、なんかしらやらかすから油断ならないのである。
 しかし、いきなり「イーノイーノブライアンイーノ」には笑いますた。それじゃあ、シャレ山紀信じゃんかよ。わははは。まあでも、又来にしても、十文字にしても、熊本にしても、たとえばトリックやケイゾクのようにサイコなヘソみたいなのがあって、馬路やばいみたいなカンジはなく、あくまですっとぼけ通している。パロディ的な真実表現も放棄して、パスティッシュにケタケタっつーことかもしれませぬが、オダギリジョーのヤバサみたいなものがどこかに見えてこないと満足できなくなっているのは、歪んだ期待がすぎるというものなのだろうか。そうはいっても、「みゆうみゆうちゃん」とか、わけわかめなことばが飛び交っているのは、もう少しみてみないとどういう意味なのかはわからない。このようなおちゃらけともなんともつかないパフォーマンスと本格推理が同居しているというところが、この手の作品の定石だと思う。かなり凝っているようにも思ったが、もしかしたらそれすらもケタケタしちゃっているのかもしれないなぁと思わないことがないところがある。単に展開が強引なだけかも知れないけどさ。
 笑うのは、ケイゾクを調べる窓際刑事の執念というようなものは欠片もなく、「趣味で調べる」というのは公然のことであり、同じ課の人たちなんかも「また趣味で調べるつもりぢゃねぇーの?」とか、カルクやりとりしている。「趣味で調べています」「たとえ犯人でもタイーホできません」「自白するかどうかは好意にかかっています」「以上は趣味で調べたボクの推理です、あとはすべてご厚意でしゃべって頂くしかありません」とはんにんにぽつねんと食らいつくのはほぼ定型化されていることがわかる。そして、最後はキタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)゚∀゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)-_)゚∋゚)´Д`)゚ー゚)━━━!!!! と言わんばかりに、「誰にも言わないからねカード」にオダギリジョーが捺印して真犯人に渡す。この儀式自体、カタルシスもなければ、癒しもない。徹底的にドラスティックにナンセンスに完璧なまでになにもない。わざとらしいっちゃわざとらしいが、ここまでくるともうどうしようもなく笑うしかない。
 おおざっぱなようで脚本はたぶんつくりものクサイまでに練り上げてあるのかもしれないなぁと思う。池脇千鶴が虚言癖な人を演じていて、「・・・はい」というセリフが趣向的になっていたことなど、わかりやすく視聴者にサービスしているところも散見される。トリックの小橋めぐみの好演、ケイゾクのさらば愛しき殺人者の「にゃん☆」というダイビングの結末など、なにかをえぐり出すようなものは意図的に断念されているのか、それとも単に出来が悪いだけなのか、その辺に注目しながら、もうしばらくみてみないとあかんかなぁと思ったりするのである。