竹内謙二『誤訳−−大学教授の頭の程』によせて

 同期会から帰宅。ゼミの二期生っつーのは、なんと半数以上が推薦入試の地方出身者、頭使いべりしてないっていうか、お気楽コースで入学した怪人物が勢揃いしてますた。在学中にガキ産んだ椰子がいて、学校に連れてくることもあるのはまあいいとして、研究室でこのガキがウンコしやがって、研究室が臭くなり、オシメを変えて帰ったあとに偉い先生が来て、「アテクシが漏らしたんじゃないです」って言いたくなるような涙の出るような状況になったりしますた。
 そんなことがあるなぁと昔を想いつつ、再会した二期生はまず「大先生はどうしました?」と聞いてきた。で、「お元気だよ」と答えた。大先生とは、われらが大先生かーむらのぞむ氏のこと。ゼミの二期生の一人が、卒論面接で学会のラフファイターとしてつとに有名なかーむらのぞむちん@面接副査*1を突然指さして、キャハはhahahaと笑いだしたんですね。「なんだ君は」とのぞむちんがキレそうになっているのに、さらにキャハハハハと笑い「だっておかしいんだもん」とかゆう戦慄ものの事件を引き起こしたんですね。こわ杉。しかし、面接のあと、のぞむちんは、「なんだ今の面白いのは」と平然としていて、アテクシは太っ腹に脱帽いたしますた。
 ミードの訳をめぐって先生がラフファイターぶりを発揮しているのは一部で有名です。なかには、かなり怒っている人もいるらしいです。私は、岡山時代のぞむちんから論文をいただき、誤訳の指摘になかなか感嘆した部分もあり、「アダムスミスにおける竹内謙二先生のご著作を思い出します」などとお礼の手紙に書いた記憶があります。竹内謙二『誤訳−−大学教授の頭の程』*2は、『国富論』の訳をめぐり、原文と、水田訳、高島訳、大河内訳などを照らし合わせ、なで切りにするという怪書で、一部読書人に愛読されたものです。*3
 最近では先生は『日本社会学の頽廃を嘆く』みたいなすげぇ題名の本を出したりしています。ミード訳については、加藤一巳氏らの反批判*4も出まして、実りある論争が期待されるところです。この、のぞむちんは一時代を創ったバリバリのマルクス主義理論家ですが、[daisensei]キャラというのとはまた違う、パンクに突き抜けた人です。「卑弥呼はもーほーです」などというありえねぇーわけわかめなことから話をはじめ、それなりの本質をグワシッとわしづかみにする呼吸は、ううううすごい、服部之総を彷彿とさせるような議論でぶっ飛びマスタ。私的には[daisensei]の特徴としては、体系志向と、篤実な思い詰めたようなきれいな目*5、あと太っ腹*6であると思っています。東京外国語大学から岡山大学に転任した田中かつひこ氏が「世界の田中です」と言って自己紹介してまわったという話がありますけど、これは[daisensei]なんでしょうか。
 以上、「[daisensei]に勝手に賛同する会」みたいなのりで書きました。
 で、ゼミの二期生ですが、四年ともなると、「イージャンオッサン」とかため口で、卒論終わる頃は呼び捨てする奴まででるしまつ。それがまた、説得力があるっつーか、不自然じゃないところがすごかった。それはともかく、吉祥寺の焼き肉屋に、さめじまくんとゆう、焼き肉の網を手で持てるという特技をもったイケメン店員がいて、そのさめじまくんを囲む焼き肉会というのができ、私もカメラマンとして随行させられたりしていたんですが、そのメンツで同期会ってことで集まった次第。まあこんな連中でも、仕事を六年もやっているとしっかりしてくる。メシ喰って、サクッとひきあげるところが、現役の暇人学生とは違う。先週火曜のゼミコンパなんか、飲んだくれて、ひつこく二次会逝ったもん。飲まないでカラオケ。一時間タテノリで酒まわりまくりへべれけ状態で解散になったとき、チャリで去るアテクシをみんなで見送ってくれたのはいいとして、ギャグのつもりだろうけどみんなで声を揃えてでっかい声で「またね〜、パパ」と言いやがって、シャレきつ杉っつーか、馬路ムカツク。きゃっちのあんちゃんとか、オサーンとか、ハラ抱えて笑っていやがった。

*1:学生たちは、先生をのぞむちんとか、のぞむとか呼んでマスタ。こわ杉。

*2:アマゾンで調べたらまだ出てますね。二日以内に発送だそうです。

*3:お礼の手紙では「技術論論争の中村静治先生をも彷彿とさせる」とも書いた記憶があります。中村静治『技術論論争史』は、労働生産における技術の位置づけをめぐる所説をなで切りにしたもので、論の激しさはすさまじいものです。ただし関恒よし氏の『近代経済学の破産』は書きませんでした。この本は、「あと日本は五年で社会主義になります」という一言で一年の講義をはじめるので有名だった著者が、ブルジョワ経済学をめった斬りにしたものですが、ちょっとずれると思ったからです。

*4:シカゴ大学での文献精査を含む労作です。のぞむちんの生の声を聴き続けた者としては、加藤氏らの説には疑問も残りますが、私が代弁することでもないと思います。よい方向に議論が進むことを願いたいですね。

*5:別に写真見て描写したわけじゃないけど。

*6:あり????