拙著紹介

サブカルチャーの社会学 (SEKAISHISO SEMINAR)

サブカルチャーの社会学 (SEKAISHISO SEMINAR)

拙著『サブカルチャー社会学』(世界思想社)は岡山でミニシアター=シネマクレールつくったHさん、雑誌『映画の残像』や映画のプロジェクト「映画の冒険」、岡山映画祭と関わったOさん、映画作家であり、また岡大筋でペパーランドというライブスペース&喫茶店を経営され、またあるときは映写技師、またあるときはラジオのDJ、またあるときは前衛芸術家であるNさん、学生時代映画『虹をつかむ男』のモデルの方といっしょに映画の出張映写などをされ、現在も市役所勤めをしながら映画と関わっているSさん、西大寺観音院でロックコンサートをひらいたり、街にイベントスペースをつくるなどされているNさんなどを調査した結果をまとめ、そこに社会学的な考察を加えたものです。興味があればぜひご覧下さいませ。




社会学的想像力のために―歴史的特殊性の視点から

社会学的想像力のために―歴史的特殊性の視点から

 拙著『社会学的想像力のために』(世界思想社)は、社会学的想像力という思考方法について再検討をくわえ、11個のピボット=考察のための軸足となる論点から整理したものです。この11個のピボットは、章タイトルとして示してあります。異化と同化、概念的思考、経験調査、科学の実用性と中立性、予測と制御、科学の探求モデルとリアリズム、多様性、歴史的特殊性、時代認識、公衆と政治、知的職人性、の11個です。
 本書は、章立てに沿って、『社会学的想像力』のそれぞれの章を一つ一つ読み解きながら進められています。1章から10章までの章は、原著の章立て(第一章〜第十章)に対応しています。原著の付録「知的職人論」は、終章で考察しています。本書の各章では、まず最初の節でそれぞれの思考法のモチーフとなるような例解を提示した上で、原著テキストの重要な論点を取りあげ、検討を加えた。第1部全体、第2部と第3部の1は比較的わかりやすい例解中心になっています。

細目次

はしがき
第1部. 社会学的想像力のために
序章 社会学的想像力のために
  1.「異邦人の眼」でみること――一枚の写真を手がかりとして
  2.「自分の眼」でみること
  3.もう一つの異化――「私語り」としての社会学
  4.「私語り」としての『ホワイトカラー』
  5.社会学的想像力のために
1章 社会学的想像力が約束するもの――異化と同化
  はじめに
  1.視点をかえること――パースペクティブの移行
  2.思わぬつながりを発見すること――「不協和によるパースペクティブ
  3.異化の社会学コード1――社会・歴史・人間
  4.異化の社会学コード2――価値と構造への問いかけ:trouble と issue
  5.批判の論理――二分法批判をめぐって
  6.なにかに安住しないこと――「よりどころのない立場」
  7.異化に安住しないこと――異化の異化
  8.社会学的想像力が約束するもの
第2部 『社会学的想像力』をめぐって
 2章 概念で考えることをめぐって
  はじめに
  1.学問のことばをあてはめること
  2.概念がひとり歩きすること
  3.社会の秩序を変換し組みかえること
  4.社会の矛盾をみること
3章 調査方法を洗練することをめぐって
  はじめに
  1.考察を精密にすること
  2.方法か?問題か?
  3.社会学的リアリズムと発見の論理
  4.社会構造・歴史・深層
4章 科学の中立性をめぐって
  はじめに
  1.科学の客観性について
  2.科学と科学者:立場と利害
  3.社会学における価値判断−−アジェンダをつくる
  4.「役に立つ」社会科学
  5.「リベラルな実用主義
  6.「リベラルでない実用主義
  7.「新しい社会科学」
5章 予測と制御をめぐって
  はじめに
  1.官僚制と社会工学的発想
  2.官僚制的社会科学の戯画
  3.合理化論への省察:予測と制御
6章 探求モデルとリアリズムをめぐって
  はじめに
  1.科学の統一/統一科学
  2.「探究モデル」
  3.主流派アメリ社会学と古典的社会科学
7章 多様性の制御と増幅をめぐって
  はじめに
  1.社会学の言い訳と約束――前章までの小括
  2.人間の多様性を理解するとはどういうことか――対象の多様性・視点の多様性
  3.社会構造の基本単位としての国民国家
  4.学問の専門分化をめぐって
  5.社会学という専門領域の困難と可能性
8章 歴史的特殊性をめぐって
  はじめに
  1.歴史の多様性と特殊性について
  2.「歴史的特殊性」と社会学
  3.「歴史的特殊性」と心理学
9章 時代認識をめぐって
  はじめに
  1.「第四の時代」論
  2.合理化・理性・自由
第3部.公衆論と歴史的特殊性の原理――政治について
 10章 公衆のための社会学
  はじめに
  1.リベラルアーツと公衆の教育
  2.大衆社会論における公衆概念――基礎概念としての公衆と大衆
  3.公衆の類型論と歴史的特殊性
  4.公衆のための社会学と歴史的特殊性
  5.公衆の条件と歴史的特殊性
 終章 知的職人性と歴史的特殊性の原理
  はじめに
  1.方法論としての職人性論
  2.古典の読解と応用のしかた
  3.社会学的想像力を働かせること――古典の応用のために
 あとがき