三浦展『東京は郊外から消えていく!首都圏高齢化・未婚化・空き家地図』

 この春に、清水晋作さんのダニエル・ベル論を私なりに精査検討する論文を東北大学の『社会学研究』本年度号に投稿掲載されたのですが、清水さんの議論の要にあるトライユニティ論を検討するとき、つねに念頭にあったのは、三浦展氏と議論したベルやパーソンズウェーバーについての議論です。ウェーバーのぷろりんをベースにパーソンズは市民宗教の再構成を篤実に考え、ベルは三領域の矛盾を直視し、矛盾する領域を繋ぐ矛盾する統一としての宗教的なもの、道徳哲学を考えた、みたいなのが、清水さんの議論のポイントとすれば、消費の倫理再構成を考える三浦展氏の一貫した問題意識と照らし合わせてみたくもなるというモンです。おまけに、ウェーバー訳して、見田宗介と対談して・・・。
 そんな折、三浦氏より、本をいただきました。いつもご配意いただき、本当にありがとうございます。またお礼が遅れましたこと、お詫びいたします。

東京は郊外から消えていく! 首都圏高齢化・未婚化・空き家地図 (光文社新書)

東京は郊外から消えていく! 首都圏高齢化・未婚化・空き家地図 (光文社新書)

 かつて団塊世代が東京圏にあふれ、郊外に大量の住宅が建てられた。それが今や、人口減少社会へと転じ、ゆくゆくは40%が空き家になるという予測も出ている。そうなれば、東京の随所にもゴーストタウンが現れるだろう。長年ローンを払い続けて手に入れたマイホームも、資産価値のない「クズ物件」となってしまう。
 日本の都市は、他にもさまざまな問題をはらんでいる。居場所のない中高年、結婚しない若者、単身世帯の増加……。とくに首都圏では、それらが大量に発生する。これから郊外はどうなる? 住むべき街とは? 不動産を最大限に活用するには? 独自の意識調査をもとに、これからの東京の都市、郊外のあり方を提言する。


目次
第1章 あなたの街がゴーストタウンになる!
第2章 発展する街・衰退する街はどこか?
第3章 団塊ジュニア以降の世代はどこに住むのか?
第4章 団塊世代は親子二世帯同居をするか?
第5章 どういう郊外が生きのびるか?
第6章 郊外をゴールドタウンにする方法
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334036980

 三浦氏の作品モチーフの重要な鍵概念の一つが、郊外であることは言うまでもないでしょう。その三浦氏が表題のような本を出されたことは、かなりショッキングなことでもあります。書店では、新雅史さんの商店街論とよく並んでおいてあります。このベースがコンビニ論であることもなかなか意味深長ですよね。ダイエーからセブンイレブンへ、というような、消費の転換は、一つの成熟みたいに思われるわけだし、まあ便利ではあるわけだけど、イオンとかなんかも含めて、何をどう考えたらいいかというか、そういう工夫のしかたを、踏みとどまって論じようとしている。
 踏みとどまってというのは、もうこうなったら鉄条網で囲っちゃって、警備でもつけて、そっち行くしかなくね?みたいな議論じゃなくて、80年代的な消費の良質な部分をどうやって再構成するかみたいなことを、考え抜いている。いろいろ批判はされるだろうが、昔の仲間内で話すと、なかなかオトシマエついているよな、みたいな話になります。