セルバゲーム

 イラクでなくなった元傭兵のニュースを聞いた時に、まず思い出したのはジェド豪士のことだというのは、あまりに馬鹿げているかもしれないけれども、浦沢直樹の『パイナップルアーミー』の主人公の境遇は、元傭兵のそれと似通ったところがあり、プロフェッショナルの活躍を描いた作品であることからしても、けっして死者への冒涜にはならないだろうと思う。それよりはむしろ、平和を重視する観点から、戦争アクション愛好を問題にする人がいるかも知れない。実際岡大時代に、親しく交流した学生たちの何人かに、平和を重んじる観点から、そのようなマンガや映画好きの傾向性を批判された。そうなるとイチビってみたくなるのが人情というもので、フォーサイス萌えとかはじまっちゃって、しまいには「ランボー怒りのアフガン」ッテなんてパンクな題名だろうか。惚れ惚れするよな。トップガンも萌え!などと挑発し、険悪なムードになった。
 戦争オペレーションっぽいヲタク性みたいなものにしか作品性がないのか、あるいは極限状況における人間性を描こうとしたのか、それは判断することはできない。そういう意味において、『マスターキートン』の方が広範な読者を獲得したことは間違いない。それでも、ふたたび読み直してみて、全作品胸のすくような面白さである。共産政権の最強ヘリハインドDと闘う「セルバゲーム」、ゲリラによる誘拐事件を解決する「コパンの壁」などは、中米における冷戦時代を彷彿とさせる作品であり、グレネードランチャーをライフルのように操るジェド豪士の活躍は痛快無比なものがある。しかしまたそこには、ミルズの社会科学的営為と響きあうラテンアメリカの人々の生活などは、なにも描かれていないとも言える。
 狙撃兵を描いためずらしい作品「山猫は眠らない」は、まさに「セルバゲーム」の名前がふさわしい作品と言えるが、もともとのものは非常にリアルに狙撃兵の姿を描いたものと言える。辛抱強く近づきミッションを遂行する。見つかったりすると、まぢかっこわるかったりもする。goo 映画より解説とあらすじを引用する。

解説

 南米パナマのジャングルを舞台に、米政府上層部の極秘指令を受けて隠密作戦を展開する2人の狙撃手の姿を描く戦争アクション。撮影の大部分はオーストラリアのクィーンズランド北部のジャングルで行われた。監督はペルー出身で「大統領暗殺指令」のルイス・ロッサ。製作はロバート・L・ローゼン。エグゼクティヴ・プロデューサーは「トイズ」のマーク・ジョンソン。脚本はマイケル・フロスト・ベックナーとクラッシュ・レイランド。撮影は「カッコーの巣の上で」のビル・バトラー。音楽はゲイリー・チャンが担当。主演は「7月4日に生まれて」のトム・ベレンジャー、「メンフィス・ベル」のビリー・ゼイン

あらすじ

 南米パナマ、コロンビア国境近くのジャングルで、ワシントンからの指令を受け、極秘のうちに任務を遂行する狙撃手のトーマス・ベケット上級曹長(トム・ベレンジャー)。彼のもとへ、パナマの麻薬組織のボスであるオチョアの援助を得て政権を狙うアルバレス将軍を暗殺する指令を受けた若きエリート軍人のリチャード・ミラー(ビリー・ゼイン)がやって来た。ベケットはミラーに標的がオチョアと将軍のふたりになったことを伝える。翌朝装備に身を固めたベケットとミラーは、ヘリではなく列車と徒歩で目的地のアルバレス将軍の農園を目指すことになった。農園に侵入した2人はそれぞれ将軍とオチョアを同時に狙撃することになり、ヘリコプターから降りて来たオチョアをミラーは仕留めるが、敵と乱闘になっていたベケットは狙撃のチャンスを逃してしまう。銃弾の雨の中を脱出した2人だったが、暗くなったらもう一度農園へ向かうというベケットの言葉に、恐怖のあまり錯乱したミラーは、銃を乱射して弾丸を使い果たして放心状態になってしまう。そこへ武装ゲリラが現れ、ベケットが捕らえられてしまう。ベケットは最後にひとつ残った弾丸を砂の中に落としていった。恐怖に打ち勝ったミラーは砂の中から弾丸を拾いあげ、闇にまぎれて再び農園に潜入した。アルバレス将軍と、拷問を受けるベケットの姿を見つけたミラーは、自分の方向からは2人の体が重なり合うため、アルバレスを撃つことができない。しかし彼は慎重かつ大胆な判断で2人の体が離れた瞬間アルバレスを射殺した。そしてミラーは、無事ベケットを助け出し、農園から脱出するのだった。

 これでも井筒和幸監督は激怒するかもしれねーけどさ、まあこれはこれでそれなりに心棒の通った作品とも言えると思うんですよ。ところがまあ、大統領もかわり、世界情勢も変化し、ぢぢいになってしまったベレンジャー扮するベケットは退役したのにふたたび特別に仕事を与えられたという、いささか無理のある設定でパート2がつくられたわけです。しかーし、なんとこの度めでたくパート3ができたのには、ぶっとびますた。なんつーかさ、モロぢゃないですかぁ。かなり無理がねぇか?これだったらさ、藤田まこと辞める必要なし。あと20年はできそう。w 妙にひねっていて、マッチョな映画になっているらしい。今度の土曜日からやるらしい。見に行くかかなり迷う。っつーか、goo の解説はかなり笑いますたよ。

かつて米海兵隊きっての凄腕スナイパーとして名を馳せたトーマス・ベケット。傷病除隊から数年、その経験を買われて復職した彼に、ベトナム時代の戦友で、命の恩人でもあるポール・フィネガンを抹殺せよ、との指令が下る。死んだと思われていたフィネガンは、イスラム過激派と結託し、テロ組織を支援する危険人物となっていた。ホーチミン警察のクアン刑事と組んでフィネガンを追うベケット。その胸中に迷いがよぎる。はたして命を預け合った親友を殺せるのか……。一発必殺“ワンショット・ワンキル”を信条としてきたベケットが、初めてミスを犯す。
 トム・ベレンジャーが孤高のスナイパーを演じる人気シリーズ第3弾。ストイックかつ緊迫感あふれる語り口と、ミリタリー系マニアも納得の銃器考証で、正統派アクション映画の傑作とされる本シリーズだが、やはり3作目ともなれば新味が求められる。そこで今作では、主人公ベケットの過去に焦点が当てられ、彼の内面的な葛藤から今までにないドラマが生まれる……のだが、寡黙な仕事人という性格設定で巧妙に隠されてきたベケットの人間味を、ここにきて真正面から描いてしまうことには賛否両論あるだろう。とはいえ、「男気礼賛」の作品がめっきり減った近ごろでは、その筋のファンには必見の一本であることに変わりはない。本シリーズがライフワークとなりつつあるベレンジャー兄貴の円熟の渋味に加え、地下トンネルで展開するクライマックスも技あり!

 兄貴ってさぁ・・・。無理があると思うけどなぁ。