THE SPIDERS SPECIAL/近田春夫スゴ杉

 CSやBSデジタルの選りすぐりを魅せるというフジテレビ「メディアの苗床」ですが、昨日は何とスパイダースの特集でありました。今日は入学式だし、そろそろ寝るかなぁと思ったら、ムッシュかまやつ井上堯之が対談をしていやがる。おまけにナレーションが野宮真貴ときたら、・・・わああああと、あわててビデオ録画を開始。そして風呂に入って、ビデオまわしたまま寝た。うとうとしながら、全部見たような気もするが、今日帰って、ビデオを観た。若い人が見てどうなのかわからないが、60年代GSなどを体験したものには、馬路たまらない番組である。番組の概要をフジテレビのサイトから引用しておく。この文章はキャッシュにのみ残存しているものである。

数あるグループサウンズの中でも隆盛を極めたグループの一つ、ザ・スパイダース。実は彼らの音楽は最先端の洋楽のエッセンスをビビッドにとりいれた、当時としては最も進んだ音楽性を持ったバンドだった。/子供の頃からの大ファンである近田春夫氏は「彼らのファーストアルバムが日本語のロックの始まりです。はっぴいえんどなんかじゃない!」と力説する。/その楽曲の多くを作曲したムッシュ・かまやつ(かまやつひろし)とリード・ギタリストだった井上堯之の二人が4時間以上にわたりトークを展開。ザ・スパイダース時代の驚くべきエピソードや、その楽曲の成り立ちなどを明かしていく。それは単なる一つのバンドのこぼれ話ではなく、日本の音楽が大きく変わる瞬間の貴重な証人たちの話である。/さらに二人は、ヒット曲の影に隠れた名曲4曲を熱唱。曲目は「ヘイ・ボーイ」「ノー・ノー・ボーイ」「サマー・ガール」「エレクトリックおばあちゃん」。どれも、かまやつひろしの作曲である。/トーク収録後「実はこんなにちゃんと話したのは初めて!」と、さらに2時間以上もスタジオの片隅で話し込んだ二人だった。

 私が毎週『週刊文春』を買っているのは、近田春夫がエッセイを書いているからと言っても過言ではないのだが、ほんとうにこの人は面白い。前にも言った、日本で最初にチョッパーをしたのがいかりや長介だというネタ(要するにツーフィンガーでひかず親指でひいていただけ、つまりはチョキを人差し指と親指で出すような、というかそれ以上にブルージーな話なのであるわけだけど)とか、何度読んでも笑いがこみ上げてきた。それはともかく、馬路ファンだということは、楽しそうに語っていることから明らかであり、いちいちが切れ味があって、パンクに笑えるんだよな。はっぴーえんどのことだって、アレはフォーク、真面目なお坊ちゃんバンド、エレキ入れればロックなんて、プッ、おかしくって、すげーきらい、ボクは断然内田裕也だとか言ってるの。
 近田春夫は、「全部好き」「そうねぇー、嫌いなもの・・・夕陽が泣いている」。代表曲「夕陽が泣いている」。ヒットメーカー浜口くらのすけ作品。ブルージーに伴奏つけようとしても、リズムアレンジスパイダース風にしてもだめで、ベタに歌ったら、大ヒット。しかし、近田春夫「がっかりした」「スパイダーすじゃない」「子供心に世も末だと思った」。本城和治は、流行る曲も重要ということと、ムッシュもその後けっこう下世話な曲つくってるからねで、チャンチャン。近田春夫「実は出だしパクってますた。はじめて言います。ごめんなさい」。核爆。
 ムッシュかまやつ66歳、井上堯之63歳。年齢に、見えないことはない。でも、このぢぢいたちは、やっぱすげぇよ。スタジオライブを交えたとーくはすげかった。ムッシュが、どえらい情報通で、キンクス、マンフレッドマンとかコピーしながら、最新の機材を買って、わけわかめながら、見よう見まねで使って、他の追随を許さなかった。シルビィー・バルタンについてきたミッキー・ジョーンズっつーギタリストをナンパして、メシおごって、企業秘密の機材の使い方教わった。またまた近田春夫登場。「機材でハスパイダーズが日本では他を圧倒。唯一彼らに先んじたのは、ゴールデンカップスミッキー吉野ハモンド買ったことくらい」。
 前座の話も面白かった。ビートルズはやらねぇと断った話。まあこれは、NO1への敬意だとかゆうことで説明していた。サファリスとかクソだとか思っていたし、アニマルスなんかも、奴らの曲先にやっちゃうの。椰子らぶっ飛んで出てきて、面白かったよー☆。すごすぎるな。このぢぢいたち。そんなことなどを交えて、多様な楽器を使いこなす大野克夫の才能、井上順、堺正章などの思い出を語った。「フリフリ」「ブーンブーン」「バンバン」「なればいい」「サマーガール」「スーパエレクトリックばあちゃん」などを語る。井上&ムッシュいちおしが、「なればいい」。たしかに、誰かがカバーしてもぜんぜんおかしくないと思う。本城は「サマーガール」。ビーチボーイズ風。流行らなかった歌の方が色あせてない。流行歌の宿命は悲しい。どうなのかなぁ。
 ピッグ結成にまつわるうらみつらみを、はじめてムッシュは、井上にぶつけた。俺が誘われていると思った。「なによあれ」。誘われなくて悔しかった。それでフォークの方へ行った。ピッグとは、ジュリーとショーケン、タイガースとテンプターズという二大バンドのボーカルをツインにすえて、井上堯之中心にバックに豪華メンツを集めたスーパーバンド。またまた近田春夫。「ムッシュは、ギターもあいまい、うたもあいまい。ピッグのなかで、かまやつさんの立ち位置は微妙。でも、逆に言えば個体としてのムッシュはやっぱすご杉」。そして田辺昭知にも「リーダーとしてはすごいけど、ミュージシャンとしてはつっこみやすい」と絶妙のまとめをした。近田は馬路すごいね。そして、スパイダーズももちろん。パンクだ。