「トリビアの泉」考:亀と道鏡

 マイナーでなければできないものがある。別に通ぶるわけではなく、とんがったものは人口に膾炙しないということなんであります。なんて、まわりくどい言い方しなくてもいいよね。ちょっと文化論の議論とかに触れたので、あたまがほっとになったままだったのよ。要するにですね、テレビの深夜番組なんかでやっているもので、早い時間帯とかにもってこれないものはたくさんあるッつーことなんですが。ワールドダウンタウンなどは、いわゆるゴールデンにもってきたら、速攻打ち切りでしょう。まあもってこなくても打ち切りになった「E女A女」みたいなものもあり、ありゃあすげぇなぁと思うと同時に、七時だいでちそこ出してしまった椰子もいたなぁとか思う今日この頃。そこで話は、「トリビアの泉」だとか「ヘキサゴン」みたく、「栄転」を成し遂げた番組です。もちろん「もらい泣き」のCDを遅くまわすと平井犬になるというような、感銘をウケルようなネタは、多くの人が見るようになって可能になったものだと思うし、深夜のままでよかったとか言うことをいいたいわけではありません。お茶の間向けに楽しい番組になったし、それはそれでよいことだとは思うのです。が、ネタ的にはしもねたNGになり、そっちであひゃひゃだった人には、萎えるものがあるのではないでしょうか、っつー、まああたりまえと言えばあたりまえのことなんですが。
 ンなことを人と話していて、例として「小便少女像」「母乳淑女像」などの話をしたのでありますが、その中で一番もりあがったのは、亀のちそこの話です。「亀は巨根」とかいうベタなネタふりされて、「なんだい亀の頭かい」だとか、アンタッチャブルみたいに戯れ戯れなかんじだったのが、証言VTRを見てぶっとんだ。もうこれが半端な巨根ではなく、道鏡も顔色がないくらいの巨大さ。普段は甲羅に格納されているものが、ヨイショ!っとすたんばると、馬路かめのあたまよりでけーの。おおおおおおおと思ったら、亀が交尾はじめたんだよ。おもむろに。でね、亀は陶然とした表情で「くわぁ〜くわぁ〜」って気持ちよさそうに泣くんだな。これが。もうペプシ鼻から噴出しそうになりましたよ。馬路すごいものを見てしまったと思った。海がめの産卵などは、児戯に見える。また、昔遠藤周作が道端における犬の脱糞の表情は実に人間的などという観察も、この道鏡亀クンの一発で、微塵もなくぶっ飛ぶ、っつーか、道鏡亀くんじゃなく、おす亀がすべて道鏡であり、めす亀がすべて孝謙天皇だっつーのが、やっぱすごすぎると思ったのであります。知らなかったんだけど、やっぱこのねたの支持者はいまだに多いらしいのね。
 まあアニマル巨根交尾系のねたって、反則技に近いといえば近いよね。昔「アニマルセックス」っていう映画があって、これがすごかったんだよね。ポルノじゃないよ。いろんな動物のちそまそ交尾を紹介する、まあ今で言えば「でぃーぷぶるー」のようなサイエンス映画だったんだぜ。これが衝撃の連続。サイとかバクはちそこが1メートルくらいあるのな。すげーのよ。馬路。あとニワトリはすごい速射砲で、一秒くらいでフィニッシュなのね。だけど、これがマシンガンのように連発するわけ。コケコケコケコケって、50連発くらいするのを見て、見ている人はみんな腹抱えて笑っているのね。そして客が「おおおおおお」と驚いたのが、カンガルー。これがさ、赤唐辛子=鷹の爪を二つつけたようなの。交尾はコンセントを差し込むようなカンジなのね。馬路びっくりしますた。もちろんサイエンス映画だから、らレーションは真面目そのもの。当時性教育ブームみたいなのもあってさ、ガキを連れてきているような客もいたんだよね。まあガキと言っても中学高校程度だけどさ。でさ、よくわかんないけど、最後は馬だったんだよ。いわゆるひとつの馬並みの馬。サイとかバクには負けるんだけど、この交尾が、さんまちゃんの正月番組でやっていたワンワンのそれどころの騒ぎじゃないダイナマイトなグラインドが続くだった。そしたらさ、酔っ払ったおっさんたちとかが、誰からともなく「ヨイショ、ヨイショ」って掛け声がかかって、かけ声手拍子の大合唱になっちゃった。
 教育的な目的でガキをつれてきた親の顔を思わず見たが、「あんたもやりなさい」みたいに言っていたのが印象的だった。当時はすごい親がいたからね。前に話したかもしれないけど、学校に言ったら真っ青な顔して落ち込んでいる友達がいた。きいたらさ、何も言わないんだよ。でしつこく問いただしたら、ようやく口をひらいた。「みなさいとかゆって、親のを見せられた」。そういうことをするのが進歩的みたいな時代だったこともあるけど、私もぶっ飛んだ覚えがある。まあだから、こんな映画を見せに来ることはよくあることだったんだろうと思う。今は必要もないのかな??
ああいった親が動物園に復習しに逝っただろうかとか思うと、映画館を出ても笑いが止まらなかったが、以来動物園に行っても私は着眼が普通の来園者とは違うものになってしまったような気がする。
 深夜なら、むつごろうさんと交尾したがった狼がいたというねたをして、もう一度血だるまで「よーしよーし」と狼をなでるムツゴロウさんをもう一度見てみたいな。あるいは、トリビア(狼)を深夜やるとかさ。まあ、今のほうが面白いかもしれないけどね。